那覇市の松山公園内に設置された久米至聖廟(孔子廟)の公園使用料が免除されているのは憲法違反だとして、市内の女性が城間幹子市長を相手に違法確認を求めた訴訟の差し戻し審判決で、那覇地裁の剱持淳子裁判長は13日、久米至聖廟は「宗教的性格を有する」とし、市による公園の無償提供は憲法が定める政教分離原則に違反すると判断した。使用料免除は無効と認定し、管理する一般社団法人久米崇聖会は宗教団体に当たると評価した。
久米至聖廟は儒学の祖、孔子らを祭る施設で、琉球王朝の繁栄を支えた久米三十六姓の子孫らが組織する久米崇聖会が管理している。訴訟で那覇市側は前身が公立学校の「明倫堂」も有する久米至聖廟は教養施設などに当たるとして設置許可や使用料免除に違法性はないと主張していた。
剱持裁判長は儒教が宗教に当たるかどうかにかかわらず、至聖廟が戦前、国や県から社寺に類する施設として扱いを受け、現在も孔子を祭り多数の参拝者が訪れているほか、孔子の霊を迎える宗教的な儀式を実施しているとして、宗教的な施設と判断した。
久米崇聖会の前身である崇聖会は儒教の普及を目的に結成されたとした上で、現在も宗教的な行事を行っているとして憲法の「宗教団体」に該当するとした。那覇市による公園の無償提供は特定の宗教を援助していると評価されてもやむを得ないと指摘し「瑕疵(かし)は明白」と判じた。
判決について那覇市の担当者は「弁護士と相談し今後の対応を決めたい」と述べるにとどめた。
久米崇聖会の関係者は「判決文を見ていないのでコメントできない」とした上で「施設は文化施設だ。何をもって宗教施設と言っているのか理解できない」と述べた。
判決は原告女性の訴え通り那覇市が久米崇聖会に14年4月から同年7月までの使用料約181万円を請求しないことは違法とした。