連続KOの比嘉 うなだれ、涙 具志堅会長「私の責任」 計量失敗で王座剝奪


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計量で体重が制限を超過、涙目で会場を後にする比嘉大吾選手(左)と具志堅用高会長=14日、東京都内のホテル(大城直也撮影)

 沖縄県民の期待を背に、日本新記録となる16戦連続KOを目指して、3度目の防衛戦に挑むはずだった世界ボクシング評議会(WBC)フライ級王者の比嘉大吾選手は、計量失敗という致命的なミスで王座を剝奪された。圧倒的な練習量に裏打ちされたパワーでKO勝利を重ね、強気な発言を繰り返していた比嘉選手だが、14日の計量では言葉を発することはなかった。比嘉選手は条件をクリアすれば15日の試合に臨めるが、体重超過というミスが試合に影響を及ぼすとの懸念も挙がる。一方、ファンからは「どうしてこうなったのか」と残念がる声が聞かれた。

 「リミットオーバー…900グラム」。都内ホテルで行われた計量。沈んだ表情で計量台に乗った王者比嘉選手に、日本ボクシングコミッション(JBC)の職員が制限体重超過を伝えた。だが、比嘉選手に驚いた様子はなく、席に戻りうなだれ、しばらくの間、下を向いたままだった。

 報道陣の驚きの視線とカメラのフラッシュが比嘉選手に浴びせられる。動揺した元世界王者で白井・具志堅スポーツの具志堅用高会長が真偽を確かめるため計量台に詰め寄ったが、結果は変わらなかった。挑戦者が淡々と計量をクリアする中、比嘉選手は具志堅会長に背中を押されながら涙目で会場を去った。

 再計量まで2時間の猶予が与えられた。絞った体からさらに900グラムを落とす厳しい現実に、会場は重苦しい雰囲気に包まれた。約1時間20分後、具志堅会長だけが会場に戻ってきた。JBC側に、試合中に相手の腕や床をたたいて降参する「タップアウト」の動作で意向を伝えた。世界ボクシング評議会(WBC)の規定により、王座が剝奪された瞬間だった。

 「比嘉本人は汗一つも出ない。日本でこういうことが起こって、大変申し訳ない」。計量後、開いた記者会見で、具志堅会長は何度も謝罪の言葉を繰り返した。

 近年、国内外の試合で体重超過が問題視されてきた。比嘉選手の計量失敗の原因を問われたが「まだ分からない」と答えるにとどめた。減量の進み具合についても「選手だけ信用していた。まさか、ということです」と驚きを隠さなかった。

 2度目の防衛戦から2カ月余の期間の短さを質問されると、具志堅会長は「最終的には私の最大の責任である」と答え、頭を下げるしかなかった。