県道文書開示認めず 高裁那覇支部 沖縄県側の控訴棄却


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福岡高裁那覇支部

 沖縄県東村高江などを通る県道70号の日米共同使用に関し、日米両政府と県が結んだ協定書などの公文書について、両政府の同意を得ずに県が開示決定したのは違法だとして、国が県の決定取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部の多見谷寿郎裁判長は17日、違法性を認定し開示決定を取り消した昨年3月の一審那覇地裁判決を支持、県側の控訴を棄却した。

 翁長雄志知事は「情報開示は県民の権利であり、非公開とするには合理的な根拠が必要だと主張してきたが、認められず残念だ」とコメントした。上告については「判決文を精査して検討していく」とした。

 多見谷裁判長は一審と同様に今回の文書が日米合同委員会議事録の一部を構成するとし、日米間の非公開合意の対象となると認定した。

 各文書の開示によって米国政府との間で非公開を前提とした率直な協議や交渉が困難となり、今後の共同使用についての交渉で不利益を受ける可能性があると指摘した。

 その上で契約や交渉などの事務に関して国の財産上の利益を不当に害する恐れがあり、県情報公開条例の不開示規定に該当すると判断。開示しても支障は出ないなどとした県側の訴えを全面的に退けた。

 県道70号は米軍北部訓練場(国頭村、東村)の区域内にあり、1990年に日米合同委員会で共同使用が決定され、県は両政府と使用についての協定を結んだ。これら文書について北上田毅さんが2015年、県に文書の開示を請求し県が開示決定していた。