【大宜味】かつては多くの茶畑があった沖縄県大宜味村。しかし高齢化とともに茶畑は減少した。「大宜味村のお茶」を復活させようと、山城茶園の山城勝則さん(63)が、地道に茶畑の再建に取り組んでいる。山城さんは村で唯一の茶の生産者だ。
山城さんは小学生だった1960年代、一面に広がる緑の茶畑を覚えている。「近所のおばあが『大宜味のお茶はおいしいね』と言いながら飲んでいた。でも、いつの間にかなくなってしまった」と語る。山城さんによると70年代後半から80年代にかけて担い手が減少し、茶畑はなくなっていった。
「今もおばあたちが飲みたいと言っている」との思いから、2005年に大宜味村江洲の畑で茶の栽培を始めた。こだわりは無農薬。茶葉に付く虫は全て手作業で取り除く。大宜味の自然豊かな水や土で育った茶を、できるだけ自然な形で味わってほしいと願う。
無農薬で育てた「さえみどり」は、爽やかで苦みや渋みの少ない独特な味が特徴だ。今年の一番茶の収穫は生葉約1500キロ、火入れして商品としては約300キロになる。山城さんは「色合いも、伸びもいい。おいしいお茶になっていると期待している」と笑う。
山城さんのお茶は、道の駅おおぎみ、名護市のJAファーマーズマーケットやんばるなどで購入できる。問い合わせは山城茶園(電話)0980(44)3967。