差別の歴史、克明に 私宅監置写真展が開幕 沖縄県立博物館・美術館


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写真と証言で当時の様子を伝え、監置小屋の内部が体験できるレプリカも置かれた写真展「闇から光へ」=17日、那覇市の県立博物館・美術館

 精神障がいのある人を小屋や座敷牢に閉じ込めた私宅監置の記録を展示する写真展「闇から光へ 知られざる沖縄戦後史~精神保健の歩みを見る・聴く」(県精神保健福祉会連合会=沖福連、県精神保健・医療・福祉連絡協議会主催)が17日、沖縄県那覇市の県立博物館・美術館で始まった。入場無料、22日まで。

 閉じ込められた暗い小屋の奥から射抜くような目でカメラを見つめる人。コンクリートの壁に取り付けられた高さ1メートルほどの扉の横にしゃがみ込み、鉄柵の奥の人影に顔を向ける高齢女性。写真の多くは1964年に東京から沖縄を訪れた岡庭武医師が撮影したものだ。写真の間には「動物以下の扱い」とも言われた当時を知る医療関係者の生々しい証言が並ぶ。

 会場の中央には現存する監置小屋を基に、県立芸大生が制作したレプリカが置かれている。小屋に入り暗く狭い空間を体験した女性(47)=那覇市=は「こんな中に閉じ込められることでおかしくなりそう。この歴史をなかったことにしてはいけない」と話した。

 沖福連の山田圭吾会長は「展示を見て私宅監置について何か思い出す人もいるかもしれない。情報を集めながら、地域に残る現物を残せるよう取り組みたい」と語った。22日午後2時からは関係者のシンポジウムと映像の上映がある。