土地を奪われ 選挙の民意反映されず… 先住民族フォーラムで親川氏が沖縄の現状報告


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【ワシントン=座波幸代本紙特派員】先住民族の権利保護と拡大について話し合う「第17回先住民族問題フォーラム」が16日からニューヨークの国連本部で始まった。琉球民族独立総合研究学会の親川志奈子共同代表が18日、関連イベントに登壇し、沖縄の人々の土地に米軍基地が造られ、新しい基地建設を許さないと選挙で民意を示しても、意思決定に反映されていない現状を伝えた。

沖縄の現状を伝える琉球民族独立総合研究学会の親川志奈子さん(左から2人目)=18日、米ニューヨーク

 フォーラムは5日間の日程で開催。同学会共同代表の友知政樹沖国大教授や県系人ら6人が参加している。

 「先住民族の人権擁護者とアジアにおける土地の権利」をテーマにしたイベントで、うちなーかんぷーを結い、着物で登壇した親川さんはフィリピン、マレーシアの代表らと、先住民族が伝統的に守ってきた土地における持続可能な開発と意思決定に関わる権利について話し合った。歴史的に不正義を押し付けられている共通点を通し、先住民族の声を意思決定に反映させることが重要だと確認した。

 親川さんは琉球王国が日本に併合され、沖縄戦を経て米軍基地が造られた歴史を紹介。米兵らによる性犯罪や殺人、米軍機墜落事故などを挙げ、「基地があることで続いてきた問題だ」と指摘。普天間飛行場閉鎖と土地の返還を求めているにもかかわらず、日米両政府が移設先として名護市辺野古に新基地建設を強行することに「先住民族の声を無視して進めることが問題だ」と訴えた。

 意見交換を終え、親川さんは「沖縄の問題を矮小(わいしょう)化し、『地方が軍事に口を出すことではない』『アジアの平和と安定のため』とする政府や基地容認派の言い訳に、正当性がないことを共有できた」と語った。