【石垣】国が進める石垣港新港地区旅客船ターミナル整備事業で、クルーズ船専用バース(岸壁)の暫定供用が21日、始まった。これまで貨物専用岸壁で受け入れてきた7万トン級までのクルーズ船が着岸可能となる。貨客混在が解消され、クルーズ船寄港回数の増加などが期待されている。2020年春には20万トン級の着岸が可能な全面供用が予定されており、好調な八重山観光のさらなる追い風となりそうだ。
石垣港の17年のクルーズ船寄港回数(速報値)は132回で、全国でも5番目に多い。18年には158回の寄港が見込まれている。
暫定供用された岸壁の全長は295メートルで、水深は9メートル。全面供用に向けて19年度までに420メートルに延伸し、水深も10・5メートルまで浚渫(しゅんせつ)する計画だ。05年度から20年度までの整備事業費は227億円。喫水の深いおよそ7万トン超のクルーズ船は当面、これまでと同様に石垣港沖で停泊する。
国は今回の整備事業終了後、新たに全長330メートル、水深12メートルのクルーズ船岸壁の整備も計画している。
一方で乗降客が風雨などをしのげる設備が整備されていないことから、市は屋根付き歩道の整備や旅客施設建設も検討している。
21日に開かれた暫定供用式で、福井照沖縄担当相は「早期に20万トン級の大型クルーズ船の受け入れが可能となるよう環境整備を支援する」とあいさつ。中山義隆石垣市長は「八重山圏域の観光振興のさらなる発展につながるよう取り組みたい」と述べた。