日本復帰前、合法的に精神障がいがある人を小屋などに閉じ込めた私宅監置を見つめ直し、共に生きられる社会を考えるシンポジウムが22日、沖縄県那覇市の県立博物館・美術館で開かれた。県精神保健福祉会連合会などが主催した写真展「闇から光へ」に合わせて行われた。210席の会場は早々に満員になり、関心の高さが表れた。
登壇したのは、名護保健所に勤め、私宅監置を含む精神障がい者の実態調査をした安富祖朝正さん、姉2人が統合失調症の八重山家族会「やらぶの会」代表の玉城由香里さん、当事者で就労支援A型事業所サービス管理責任者の松村豊さん、妹に精神疾患がある那覇市の就労支援センター泉崎所長の仲本政師さん。宜野湾市の地域活動支援センターはぴわん施設長の兼浜克弥さんが司会を務めた。復帰当時の精神障がい者や家族の状況を記録したTBSの番組「生きていた座敷牢」(1972年)の一部も上映された。
仲本さんは約30年前に発病した妹を「恥だと思っていた。自分自身が妹を差別していた」と打ち明けた。会場には妹と一緒に訪れたと言い「ありのままを受け入れ、励まし合っていきたい」と声を詰まらせた。玉城さんは精神疾患を発病した姉たちの対応に身も心もすり減らして「家族なのに一時は死んでしまえばいいと思った。排除したいと思う弱さは私宅監置と同じ」と語った。一方、当事者の松村さんは「調子がものすごく悪いときに親にきつく責められておかしくなった。親こそ変わって」と怒りを伝えた。互いの思いが交錯する会場で参加者は涙をぬぐい、次々と挙手して意見や質問をした。
安富祖さんは私宅監置が行われた当時の状況を「精神医療の予算がなく、医師も医療施設も足りなかった」と説明。「人の尊厳を奪うあんな状況は繰り返してはならない」と訴え、偏見を持たないよう教育の重要性を訴えた。