ヒメサンゴの移植なし工法に反発 専門家「保全効果に疑問」 政府の辺野古計画変更


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工事が進む米軍キャンプ・シュワブ沿岸部=4月16日、名護市辺野古(小型無人機で撮影)

 沖縄県の名護市辺野古への新基地建設計画で、沖縄防衛局が移植予定だった準絶滅危惧種「ヒメサンゴ」について、移植せずに現在二重に設置している汚濁防止枠を四重に増やす工法に計画を変更したことに反発が広がっている。ヒメサンゴを巡っては防衛局が県に特別採捕許可を申請、県はこれを不許可としている。

 防衛局は9日に開催された「環境監視等委員会」で、水の濁りが環境保全目標値を下回ることでサンゴに影響はないと説明し、委員が了承した。一方、専門家からは「サンゴ保全に効果があるか分からない。防衛局は工事を早く進めることしか考えていない」と批判の声が上がっている。

 防衛局は汚濁防止枠を多重化し、一日当たりの石材投入量を抑制すれば、水の濁りが環境保全目標値の1リットル当たり2ミリグラムに及ばないように護岸を造れると説明する。だが、環境監視等委員会で、具体的にどれだけの量を抑制するか議論されなかった。

 防衛局は抑制量について、本紙取材に「工事の進捗(しんちょく)に影響を及ぼす」として、数字は明らかにしなかった。

 日本自然保護協会の安部真理子主任は「汚濁防止枠を何重にも重ねるのは前例がない。頑丈な物を入れ、海底に影響があるかもしれない。その上、サンゴの保全に効果があるかは分からない」と指摘。「潮流が変わる可能性があるが、それも委員会で議論されていない」と批判した。

 県は環境保全図書に基づいて、事業実施前にサンゴ類を移植するように求めている。計画を変える場合は埋め立て承認時の留意事項に基づいて県の変更承認を得るべきだとしている。