沖縄観光客900万人超えも… 渋滞や感染症の防疫対策に課題


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多くの観光客でにぎわう国際通り=那覇市

 暦年で初のハワイ超え、8月には単月で初の100万人突破―。沖縄観光は「記録づくめの1年」(富川盛武副知事)となり、今後も順調な成長が見込まれる。一方、渋滞の悪化や外国人客を発端とした麻疹(はしか)の感染が拡大したことで、受け入れ環境の課題も露見してきた。沖縄が満足度の高い「世界水準の観光地」に脱皮するための土台づくりが求められる。

 外国人客は前年度比で56万2900人の増加となり、入域観光客数900万人突破の原動力となった。アジア地域の経済成長が続く中、従来は富裕層中心だった訪日客が中間層にも広がりを見せており、今後の成長を支える柱として期待される。

 予想を超える観光客数の伸びが続くことで、玄関口となる空港やクルーズ船が停泊する港湾は混雑するなどマイナス面も出ている。2次交通の整備の遅れを背景とした交通渋滞や、観光客が不慣れな土地で運転することによって発生する事故も問題として強く意識されてきた。

 はしかの流行により観光・接客業従事者に感染者が出たことは、感染症の拡大防止策が万全でないことを浮き彫りにした。空港や港湾での水際対策に加えて、ワクチン接種など県内で感染拡大防止のための環境整備を進める必要もある。今後も入域観光客の増加が予想される中で、受け入れ環境はソフトとハードの両面で改善の余地がある。

 県は2018年度の入域観光客数1千万人突破を目標として掲げている。一方、伸び率は那覇空港の処理能力が頭打ちとなっていることを理由に4・4%を見込み、17年度実績(9・2%)の半分に抑えた。伸び率の鈍化が見込まれるこの時期に、観光人材の拡充や2次交通の強化などに力を注ぎ、那覇空港第2滑走路完成後の飛躍を見据えて土台を固めていかなければいけない。(知念征尚)