県立高校60校のうち、浦添高校が4月から性別に関係なくスラックスやスカートを自由に選べる取り組みを始めたことが28日までに琉球新報社の調べで分かった。女子が制服購入時に注文書に記入するだけでスラックスを選択できる高校は11校、学校への申し出後にスラックスの着用を許可している高校は9校あった。「性的少数者に対する配慮」「利便性」など多様なニーズに対する取り組みが県外では広まりつつあるが、県内では限定的だ。
調査は3月下旬から4月初旬にかけて、県内県立高校60校、関係者、制服指定店などに資料の提供と電話の聞き取りで行った。58校が制服を採用していた。
性別適合手術を経て戸籍を女性に変更した日本性同一性障害と共に生きる人々の会沖縄支部の砂川雅さん(36)は自身の経験から「自認の性と異なる性の服装を義務づけられる環境が嫌な人も多いだろう」と語る。
多くの学校が「申し出があれば配慮する」としていることについて「親にも相談できないのに申し出なんて無理だ。昔に比べれば、学校現場でも多様な性に関しての対応が広がっているが、まだ理解が足りていない」と強調する。砂川さんは学生時代に親や教師にも相談できず苦しみ続け、高校卒業の日に両親にカミングアウト(告白)した。
砂川さんは、自認する性の制服を望む生徒、自認ではない方向への体の成長に苦悩する生徒、同性愛の生徒など、子どもたちの抱える悩みは多様だという。「まずは正しい知識を持って、相談しやすい環境作りを整えることが大切だ」と話し、教員への研修実施など取り組みの必要性を強調した。