【沖縄】お菓子の缶や流木など、身近な素材を使って三線を作っている宮里昌秀さん(81)=沖縄市山里=がこのほど、アカギを使った世界に一つだけの手作り三線を完成させた。自宅敷地内にあった約4メートルのアカギを使い、約1カ月で完成させた。宮里さんは「アカギが奏でる音は、重厚感があっていいんだよ」と紹介し、自慢の三線の音を響かせた。
三線作りに興味を持ったのは、10代の頃。学生時代は「テレビもラジオもなかった。遊びといえば、歌や踊りぐらいだった」と振り返る。先輩たちが三線を片手に歌って、踊る姿に憧れたが、三線を買える経済的な余裕はなかった。「自分で作れないか」と思い立ち、身近な素材を使い三線を作り始めた。
以来約70年余、時間を見つけては「世界に一つだけの三線」作りにいそしんできた。中学卒業後から大工として働き始め、自宅に帰ると三線作りに精を出した。制作に没頭することで「ウタイノーシできる(疲れを癒やせる)」と取り組んできた。年を重ねた今でもその思いは変わらない。
これまで手掛けてきた三線は70丁以上。「自分が作った三線の音色で、人の喜ぶ姿を見るのがうれしい」と、老人ホームを回り、ボランティアで演奏会を開いている。「世界に一つだけの三線」を求め、県内外から宮里さんを訪ねてくる人もいるという。
宮里さんは「三線の音色でたくさんの人を笑顔にできたらうれしい」と笑みを浮かべた。