「普天間、人いなかった」 海兵隊トップが事実誤認発言 土地強奪の歴史無視


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ネラー司令官

 【ワシントン=座波幸代本紙特派員】米海兵隊トップのネラー総司令官は2日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)について「非常に古い施設で第2次世界大戦にさかのぼる。建設当初の写真を見ると、数キロ以内に住む人はいなかった。今は飛行場周辺の市街地がフェンスのすぐ近くに広がる」と述べた。同飛行場は戦中・戦後にかけ、住民が収容所に隔離されている時期に米軍が集落があった土地を奪って造った基地だが、ネラー氏の発言は住民が飛行場周辺に住まわざるを得なかった経緯を無視した形だ。 

 国防総省での会見で本紙の質問に答えた。ネラー氏は「沖縄の大部分の人々が米国の駐留を高く評価していることを知っている。私たちの大多数は良き隣人であり、良き友人だ」とも述べた。普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題については「移設先が確保できれば喜んで出て行く。それまではできる限り安全に運用し続ける」と述べ、県が日本政府に求めてきた来年2月までの運用停止(5年以内の運用停止)を否定し、継続使用の方針を示した。

 ネラー氏は「沖縄の海兵隊を減らし、飛行場を移設する計画に変更はない」とする一方、反対運動などを挙げて移設には「しばらく時間がかかるだろう」と話した。在沖米海兵隊のグアム移転計画に伴う北マリアナ諸島テニアン島での実弾射撃場建設計画は、環境問題のため難航しているという認識を改めて示した。
 米軍普天間飛行場の安全確保については「周辺の住民が米軍機にレーザーを照射したり、飛行経路でたこや風船を飛ばしたりしなければ、(安全に)役立つだろう」との認識を示した。

 米軍機へのレーザー照射を巡っては、15年に普天間飛行場や嘉手納基地周辺の事例が明らかになった。また、12年に同飛行場にオスプレイが配備された際、市民が周辺でたこや風船を揚げ、抗議の意思を示したが、現在は規制されている。