改憲論議「萎縮せず声上げて」 憲法施行71年、沖縄県内各地で集会


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
多くの人が訪れた「憲法講演会」。講演者の話に聞き入る人たち=3日、沖縄県宜野湾市

 憲法記念日の3日、「2018憲法講演会」(主催・沖縄県県憲法普及協議会、沖縄人権協会、日本科学者会議沖縄支部)が宜野湾市民会館で開かれた。安倍晋三首相が戦力の不保持を定めた憲法9条に自衛隊の存在を明記する案を提起してから丸1年。県内では自衛隊の南西諸島配備計画が着々と進んでいる。講演者が立憲主義の重要性を語りかける中、会場に訪れた約千人(主催者発表)は現行憲法が守ってきた平和や人権について考え、9条の堅持を誓った。そのほか県内各地で護憲・改憲派双方の立場で集会が開かれた。

 憲法講演会では、憲法学者らと集団的自衛権の行使容認に反対する組織の立ち上げなどに関わってきた日弁連憲法問題対策本部副部長の伊藤真弁護士が、基本的な憲法の内容や改憲問題などについて講演した。

 伊藤弁護士は9条の変更は国民投票を経て民主的な正当性を持つことになるため、南西諸島への自衛隊配備問題などに「反対できなくなる」と言及。国防や安全保障のために人権が制限される可能性があり「徴兵制も可能になる」と警鐘を鳴らした。

 憲法は国民が国を縛るためにあるとし「萎縮しないで声を上げ憲法の理想に現実を近づけることが必要だ」と呼び掛けた。

 石垣島で自衛隊配備計画に反対を訴えている市民団体の代表が現状や活動を紹介した。憲法を身近に感じてもらおうと取り組む「模擬憲法カフェ」を弁護士が実演した。

憲法講演会の基調講演で、9条が果たしてきた役割について語る伊藤真弁護士=3日、宜野湾市民会館

◆「戦争放棄の役割失う」 伊藤弁護士、自衛隊明記を危惧

 基調講演をした伊藤真弁護士は、日本に憲法9条があったからこそ戦後、他国の戦争に巻き込まれなかったとし、自衛隊を憲法に明記することで9条が果たしてきた戦争放棄の役割が書き換えられる危険性を強調した。伊藤弁護士は日弁連憲法問題対策本部で副本部長を務め、「1票の格差」訴訟など、住民の権利を守る訴訟に携わってきた。伊藤弁護士は「憲法は国民が国家を制限するためにある。私たち誰もが政治や憲法に無関心でいられても、無関係ではいられない」と憲法の重要な役割を説明した。

 特に戦力不保持を規定した9条2項の役割について「(戦争に参加する)手段を奪うことになり、正規の軍隊を持たせないことになった」と述べた。貧困層の若者が軍隊に入らざるを得ない経済的徴兵制や、帰還兵の心的外傷後ストレス障害(PTSD)など米国の実態を例に挙げ、「どの戦争にも必ず『戦争の後』がある。9条を変えることは、こうしたリスクを引き受けることを意味する」と強調した。自民党などが目指している自衛隊の憲法明記については「9条が書き換えられることと同じだ」と指摘。「後法は前法を破る」として、仮に9条が残ったとしても、新しく追加された条項が優先されると危機感を示した。その上で「軍隊の持つ抑止力は、挑発力でもあり、二面性がある。今こそ国民が冷静になり、主体的に行動することが必要だ」と訴えた。

 普天間飛行場の辺野古移設問題など沖縄の基地問題が国によって「生活」か、「安全」かの選択を強制されているとし「許されない『選択の強制』」と強調。「生活、安全、ふるさとも共に享受できるようにすることが国の責任で、憲法13条の要請だ。二者択一を迫り住民を分断することを許してはならない」と力を込めた。