キングス粘り及ばず 決勝逃し今季終戦 CS準決勝第2戦


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 バスケットボール男子のBリーグ王者を決めるプレーオフのチャンピオンシップは20日、準決勝第2戦(2戦先勝方式)が行われ、西地区1位の琉球ゴールデンキングスは千葉県の船橋市総合体育館(船橋アリーナ)で東地区優勝の千葉ジェッツと対戦し、64―72で競り負けた。キングスは2連敗となり、決勝進出はならなかった。決勝(26日・横浜アリーナ)は千葉と同地区2位のA東京の顔合わせとなった。ともに2連勝で初の決勝進出を決めた。キングスは自滅した第1戦から修正し、序盤から守備の対応が早く、千葉のボール回しに食らいつき、リバウンド勝負も引かなかった。一進一退の攻防の中、第3クオーター(Q)終了時点で56―55と1点リードしていたが、最終第4Qは千葉の小野のローポストの1対1に苦しめられた。途中、約7分間無得点に抑えられながらも、最後まで粘ったが、逃げ切られた。A東京は延長戦の末、73―71で中地区優勝の三河を撃破。田中が26得点と活躍し、延長では馬場が確実にフリースローを決めるなど、バランスの取れた攻撃で退けた。

千葉(東地区1位)2勝
72―64(14―14,22―20,19―22,17―8)
キングス(西地区1位)2敗
(千葉は決勝進出)

 【評】キングスは前半、攻撃では個々の攻めからボールを回し、インサイドのハッサン・マーティンを起点にファウルも誘いフリースローで得点を重ねた。守備は素早いピックアップで食らいつき、一進一退の攻防が続いた。後半も泥くさくルーズボールに飛び込むしぶとさを見せたが、第4Qに千葉の小野龍猛のインサイド攻撃に手を焼いて失点を重ねた。しぶとく食らいついたが要所で千葉のレオ・ライオンズに3点弾を沈められ、惜しくも追いつけなかった。

◆歓喜背に「悔しい」/佐々HC、選手の成長実感

 試合を終え報道陣に囲まれた佐々宜央HCは、千葉の選手が響かせる歓喜に「一番悔しいですね」とぽつり。一つ息を吸って「選手は持ってる力を出し切った。僕がうまく指揮できなかったのは残念。ただ、最後まで戦ったのは誇りに思う」と語り、今季最後の試合を締めくくった。

 第1戦から変えたゲームプランはうまくいったがそれでも敗戦。千葉との差は「うちは攻撃がショットで終われない。これは天と地の差。千葉と競ることも大変な力だが、ここに勝つために、もう一つ乗り切らないといけない」とした。

 課題として「足りないのはパスのうまさ。個々のレベルを上げていかないと」と前を向く。

 新天地に選んだ琉球での苦悩と成長の1年を「選手がまじめに着いてきてくれた。苦しみながら戦って勝ったのは評価したい」と改めて選手をねぎらった。

◆執着心すごかった

 千葉・大野監督の話 選手が試合を最後まで戦い抜いてくれた結果。ボールへの執着心がすごかった。タフな2試合だったが、選手の成長を見ることができて幸せ。

◆熱さ、激しさ 出し切る/マーティン、接戦で存在感

 リバウンドだけでなく、ルーズボールに泥くさく飛び込み、エナジー全開で戦ったキングス。「熱く、激しく」体を張ったプレーで、アウェーの地に駆けつけたファンを熱くした。大接戦を演じたが、第4Qで力の差を見せられ、決勝進出をあと一歩で逃した。「これが現状」と選手らの悔やむ声に対し、佐々宜央HCは「持っている力を全て出した」と健闘をたたえた。

 ミスで自滅した第1戦から一夜明け、キングスのハングリー精神の強さが光った。

 千葉の守備に焦らず個々でリングを狙う。インサイドから仕掛け、ハッサン・マーティンが1対1からファウルを誘う。得たフリースローでミスなく10点を稼ぎ「自分の強みで相手外国人選手をファウルトラブルにできたことは良かった」。佐々宜央HCも「ファウルにつけ込むプランはうまくいった」と勢いを感じていた。

 第3Qはライン際のルーズボールを田代直希がコートに戻し、相手に渡っても岸本隆一が背後からスチールで奪い返すなど、しぶとさも見せた。ただ、第4Qで千葉に「ポストムーブは日本人で1位に近い」(佐々HC)小野龍猛のポストの1対1で点を伸ばされた。

 一方、キングスは途中、約7分得点が止まる。その後、マーティンの得点で64―67。時間は残り40秒ほど。強みの3点弾で追いつきたかったが、逆に3点弾で突き放され、及ばなかった。

 接戦のキーマンとなり、20得点のマーティンは「苦い思いだが仲間を誇りに思う。40分できる限りハードにやったが勝負ごとでは結果が伴わないこともある」とつぶやく。米国出身で、プロの初キャリアを沖縄に選んだこの1年。「達成感がある」としたが、「チャンピオンシップリングを取れなかったのは残念だ」と肩を落とした。
 (嘉陽拓也)

◆「ファンに応えたかった」/主将・岸本、長時間頭下げ

琉球―千葉 第2Q、激しいディフェンスでしのぐ岸本隆一(右)

 40分間のゲームが終了し送られる大歓声の先には千葉ジェッツの選手がいた。キングスの選手は敗者としコートに並び、四方に頭を下げた。列の一歩前に立った岸本隆一は、キングスファンが集まる応援席に長い時間頭を下げた。「ファンの気持ちに応えたかった。来季は多くの人を巻き込みバスケで良い影響を与えたい」と応援に感謝した。

 第1戦はミスで自滅したが第2戦はファンを熱くさせる内容だった。岸本自身は第1Qからスチールを決め、試合全体でリバウンド6と体を張った。「(チームは)100パーセント出し切ったとは言い切れないが、培ったものを信じてゲームできた」と振り返る。

 一方で、自身は試合中にプレーの選択肢の良しあしを考えすぎて「がむしゃらとは離れた思いがあった」という。それも冷静に見詰めて「自分の弱さで実力。自分を信じ、本能的に良いプレーができるように練習しなきゃいけないとすごく感じる」と主将として責任感を見せた。 (嘉陽拓也)