中学副読本が“復活” 自然や歴史 入門書に 新生「八重山を学ぶ」


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新たに出版された「八重山を学ぶ」(左)と、同書の基になった中学生用副読本

 【八重山】八重山の自然や歴史、文化について豊富な写真資料やコラムを付けてまとめた書籍「八重山を学ぶ―八重山の自然・歴史・文化」(沖縄時事出版)が出版された。同刊行委員会(田本由美子代表)が21日、発表した。書籍の基になったのは、中学生用副読本として発刊されたが、わずか2年で配布が取りやめになった石垣市の副読本だ。刊行委によると出版の要望が多かったといい、新たに“八重山入門書”として出版された。

 「八重山を学ぶ―」は八重山の自然と歴史、生活・文化の3編で構成されている。全ページカラーで写真やイラストを豊富に取り入れている。八重山の偉人などを紹介するコラムにもページを割いており、興味を得やすいような工夫が凝らされている。

出版の意義などを話す田本由美子代表(左から3人目)ら刊行委員会のメンバーら=21日、石垣市の大濱信泉記念館

 副読本は石垣市教育委員会が2013、14年度に一括交付金を活用して刊行し、15、16年度には市内全中学生に配本された。一方で市教委は「南京事件」や「従軍慰安婦」の記述を「見解が分かれる」として、17年度以降の配本を見送った。

 継続発刊を求めてきた副読本の執筆者たちは17年6月に刊行委を立ち上げ、出版に向けて準備を進めてきた。訂正などを除いて本文記述内容に変更は加えていないという。

 記者会見で田本代表は「市民、県民の強い要望を受けて刊行した。執筆者の専門性も存分に発揮されており、読み応えもある。八重山の素晴らしさ、魅力が伝われば」とアピール。近現代の歴史を担当した三木健氏は「自画自賛になるが、これだけ地域の特性を網羅している書籍は聞いたことがない。問題にされた記述が、果たしてどうなのかということを考える機会にもしてほしい」と話した。

 初版印刷は2千冊。税抜き価格は2千円で、市内・県内書店で購入できる。問い合わせは沖縄学販(電話)098(854)1620。