【北中城】沖縄戦の語り部で、映画「GAMA 月桃の花」のモデルにもなった安里要江さん(97)が17日、北中城村喜舎場公民館で修学旅行生に自らの戦争体験を語った。大阪府東大阪市立意岐部中学校の3年生19人が安里さんの体験に耳を傾けた。安里さんは「戦争は絶対あってはならない。私の経験を子どもたちに歩ませたくない。戦争をなくすよう、一緒に動いていきましょう」と語り掛けた。
沖縄戦当時、2児の母親だった安里さんは糸満市伊敷の轟の壕で米軍に保護されるまでの約3カ月間、砲弾が飛び交う中をひたすら逃げた。地面には死体が散らばり、子どもたちは泣き叫ぶしかなかった。当時見た光景を語りながら「本物の戦争をこの目で見た」と悲惨な状況を振り返った。
子どもたちに何とか食べ物を与えようと、安里さんは砲弾を避けながら、道に落ちているものを探し回った。「子どもの命が一番だった」と何度もつぶやいた。沖縄戦で母親と夫、子ども2人を亡くした安里さん。語り部の活動を手伝う松永光雄さん(64)は「家族が亡くなった時のことなど、つらい記憶は話すのを避けるようになっている」と安里さんを気遣った。
意岐部中は約20年前から修学旅行で沖縄を訪れ、平和学習などに取り組んでいる。引率した中原智昭教諭(37)は「地上戦があった沖縄で、戦後も残る課題や平和について少しでも感じてほしい」と話した。
講話を聞いた藤本雲斗さん(14)は「事前に本などを読んで戦争体験は知っていたけど、実際に聞くとじーんときた。これから戦跡などに行くときには戦争で死んだ人たちを思い、勉強したい」と語った。