米軍北部訓練場跡、国立公園に 中央環境審答申 環境省7月編入決定


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 【東京】環境省に置かれた諮問機関、中央環境審議会は28日会合を開き、米軍北部訓練場の跡地を含む沖縄本島北部の森林を「やんばる国立公園」に編入するよう中川雅治環境相に答申した。答申を受け、同省は7月までに国立公園への編入を正式決定し、官報に告示する。世界自然遺産登録を目指す「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」は一度取り下げる方針のため、再推薦時に返還地を追加推薦する方向で調整する。

 編入予定地は3689ヘクタールで、6割に当たる2220ヘクタールが国立公園内で特に優れた自然景観、原始状態を保ち、植物の伐採や動物の捕獲などが最も厳しく規制される「特別保護地区」に指定する計画となっている。現在の特別保護地区は789ヘクタールで、編入後は約3・8倍の3009ヘクタールになる。貴重な自然が訓練場内に含まれていたことが改めて浮き彫りになった。

 現在のやんばる国立公園の総面積は1万7292ヘクタールで、編入地域が加わると2万981ヘクタールとなる。

 やんばる国立公園には国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がり、絶滅危惧種のヤンバルクイナやノグチゲラなど多くの固有種が生息している。環境省によると、2016年12月に返還された北部訓練場跡地で自然環境調査を実施した結果、既に国立公園となっている地域と同等の環境だと分かり、一体的に保護すべきとして返還地などを国立公園に編入する拡張案を審議会に提示し、28日に会から編入すべきとの答申を得た。

 政府は17年2月、やんばる国立公園などを世界自然遺産候補として国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦したが、訓練場跡地は準備が間に合わず、推薦範囲に含めなかった。ユネスコ諮問機関は今年5月初め、世界遺産登録を認めるには訓練場跡地の森林を推薦範囲に加える必要があるとして、登録延期を勧告した。