【辺野古問題取材班】陽光に輝く海の上をアジサシが舞う-。夏の渡り鳥アジサシはこの時期に沖縄に飛来し、子育てをする。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設が進む大浦湾で29日、複数のアジサシの姿が確認できた。
「漁船の前にアジサシが飛んでる」。抗議船の船長の指さす方に目をやると、白色のアジサシの飛ぶ姿が見えた。円を描くように飛び、空中から水中に急降下して小魚を捕っている。海の幸が豊富な大浦湾はアジサシにとって餌の宝庫のようだ。
一方、アジサシの飛ぶすぐ後ろには海上保安庁のゴムボートがあり、埋め立ての砕石を投下する作業が続く。「こんな所で食っていけるのかね」と船長がつぶやく。長年大浦湾でアジサシの姿を確認してきた男性によると、年々「アジサシの数が減っている」という。
アジサシは岩礁の自然のくぼみを利用して子育てをする。だが、卵を産んだ場所に人の姿があれば、アジサシはすぐに子育てを放棄してしまうという。
世界の中でも沖縄が最も大きなアジサシの繁殖地といわれており、沖縄で子育てができなくなると、世界中からアジサシが消える可能性がある。
環境省のレッドリストでは「絶滅危惧2類」に分類されるアジサシ。餌を捕ったからなのか、工事の音がうるさかったのか、だんだんと遠くへ離れていった。(阪口彩子)