外国人就農 沖縄に特区 農業の成長期待


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<解説>

 農業分野で外国人労働者を受け入れる県の区域計画が決定したことで、人材不足に悩む県内農業に解決の道筋が開かれた。農業支援外国人の受け入れが確定的になり、県は課題解決と農業生産の後押しを期待する。沖縄の農業は産出額が増加する一方で、高齢化や後継者不足から外国人受け入れの要望が強かった。訪日外国人客が増える観光業との連携や海外輸出の拡大など、外国人材を活用して、さらなる農業の成長産業化を加速させる。

 農業支援外国人は「即戦力」としての期待が大きい。日本の農業技術を学んで母国に生かす外国人技能実習生と異なり、技能実習生を経験するなど一定の語学力や技術を身に付けた人材が農業現場を支援できるからだ。同じ研修先のみで農業を学ぶ技能実習の制限もなく、複数の就労先で作業することができ、一時帰国が可能なことも農業支援外国人の特長だ。

 県は外国人客への通訳対応や貿易に関わる作業のサポートなど、農作業に付随する分野でも外国人材の活用を見込む。

 一方で、すでに特区に指定されている他地域との間で、人材の取り合いも想定される。受け入れ側の希望ばかりが先行すれば、入国する外国人材の目的と隔たりができる恐れもある。外国人材にとって働きやすい環境整備が課題だ。次世代の県内農業を担う後継者への施策も並行し、特区の趣旨に沿った人材活用へ着実な準備が求められる。

 (大橋弘基)