【読谷】沖縄戦で住民同士が殺し合う惨劇が起きたチビチリガマの前で、子どもたちと「被爆ピアノ」は平和の音色を奏でた。会場に響く鳥のさえずりや川のせせらぎ、木々のそよぎがハーモニーに加わる。遺族だけでなく、多くの地域住民や家族連れが会場を埋めた。平和の音色に包まれる中、来場者は平和への思いを新たにした。
コンサートでは、彫刻家の金城実さんが作詞した「チビチリガマの歌」が1987年の「世代を結ぶ平和の像」除幕式以来、31年ぶりにガマの前で歌われた。歌った読谷小音楽部の我那覇琉沙さん(11)は「73年前に亡くなった人たちのことを思って歌った。差別やいじめをしている人がいたら注意して、自分もやらないように気をつけたい。それが平和につながる」と力を込めた。
被爆ピアノを管理している調律師の矢川光則さん(66)は「素晴らしい演奏だった。ここで亡くなった人たちをこのピアノで供養したいと思っていた。子どもたちも平和を考えるきっかけになる」と意義を強調した。家族4人で訪れた山内英紗君(11)=沖縄市=は「平和っていいなって思った。人が殺し合わず、核兵器も使わないってすてきな世の中だと思う。これからの平和学習に生かしたい」と意欲を見せた。