アグー豚、安定生産体制へ 沖縄県、精液を農家に配布 ブランド力の向上目指す


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 沖縄在来の希少豚・沖縄アグー豚の頭数を増やし、アグーブランド豚の安定的な生産体制をつくる「沖縄アグー豚安定供給体制確立事業」が本年度から始まっている。県家畜改良センター(国頭村)を拠点にアグー豚の液状精液を生産農家に配布。血縁関係のある個体同士の交配で繁殖力が衰える近交退化を防いで、ブランド力の向上を目指す。県がアグー豚の液状精液を配布するのは初めて。

 アグー豚と西洋豚などを交配したアグーブランド豚は甘みやうまみのある脂が特長だ。一般的な豚肉より肉質が優れているとされ、出荷頭数は2007年の1万2千頭から16年は約3倍の3万6千頭に増加した。21年度に4万5千頭へ増やす計画だ。

 アグーブランド豚の出荷は増加傾向にある一方で、感染症の心配などから農家同士の交流が進まず、近交退化が課題の一つとなっていた。

 アグー豚の液状精液を配布することで近交退化を防止し、繁殖力の低下にも歯止めを掛ける。遺伝子の多様性を守り、親となる種豚の更新も進めたい考えだ。6月中にもアグー豚の液状精液を生産農家に配布する。

 事業は一括交付金を活用している。18年度の予算は1170万円。県家畜改良センターで検査し、安心して利用できる個体や精液を配布する。

 県家畜改良センターの島袋宏俊所長は「アグー豚は海外でも評価を受けており、液状精液を配布して優良な供給体制を整えたい」と語った。