米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、名護市の許可が必要になる美謝川の水路切り替えなど2件の工事について、沖縄防衛局が渡具知武豊市長との協議を再開させる方針を取ることが14日、分かった。移設に反対していた稲嶺進前市長時代には承認が得られないと見込み、市長権限の行使を避ける工法に変更した経緯がある。渡具知市政となったことで、国は名護市の協力を取りつける方針に転換し、移設工事を早期に進める考えだ。
沖縄防衛局が渡具知市長と協議するのは(1)市管理の辺野古ダムからキャンプ・シュワブ内を流れる美謝川の水路切り替え(2)土砂運搬のための辺野古ダムへのベルトコンベヤー設置―。
大浦湾に流れ出る美謝川の河口部を、埋め立て予定区域外へと流れを変える水路切り替えは、辺野古ダムの改修が必要になるため市長との協議が求められる。
土砂の運搬は、国道329号の内陸側にある辺野古ダム南側で採取する埋め立て用土砂を、ベルトコンベヤーを設置して運ぶ。コンベヤーがダム湖水面をまたぐため、管理権を持つ名護市との協議が必要となる。
沖縄防衛局は2014年9月、稲嶺前市長から名護市の管理する辺野古漁港や辺野古ダムの使用許可が得られないと見込み、市の関与を避ける形で工法を変更し、仲井真弘多前知事に設計の変更申請を提出した。
しかし、美謝川の切り替えについては県から多くの疑問点を指摘され、防衛局は同11月に取り下げた。仲井真前知事は退任4日前の同12月に中仕切り護岸追加と仮設道路新設の2件を承認したものの、土砂運搬方法の変更は整合性に疑問が残るとし、承認しないまま退任した。翁長雄志知事の就任で土砂運搬方法の変更について承認が得られる見込みがさらに薄くなったことから、防衛局は申請を取り下げていた。
名護市の渡具知市長は「これから市の権限がいろいろと出てくる。法令にのっとって対応していく」と述べ、手続きが申請された場合は許可する姿勢を見せている。