[ココロ・カラダ不思議つながり]55 LGBTって何なんだろう?


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

Q.LGBTって何なんだろう?

 

 今日の質問は「LGBTは昔からあったんですか?」「同性愛主義者とBL(ボーイズラブ)、GL(ガールズラブ)好きは違うんですか?」「同性愛って、どうやって自覚するのか不思議です」

 です。小学6年生から中学2年生のみなさんからです。

A.いろいろな性あるのが自然

 

四つの言葉の頭文字

 まず、LGBTの説明をしますね。L:レズビアン(自分のことを女と思っていて女の人が好き)、G:ゲイ(自分のことを男と思っていて男の人が好き)、B:バイセクシュアル(好きになる人が男女どちらのこともある)、T:トランスジェンダー(身体の性に違和感があったり、身体の性別とは違う性別で生きたいと思う)という意味です。つまりLGBTとは、人を表す四つの言葉の頭文字です。今では上にあげた人たちだけではなく、まだ自分のことが良く分からない、迷っている、性や恋愛に興味がないなど、様々な性を生きる少数者(セクシュアルマイノリティ)の人たちを代表する言葉としてLGBTを使うようになってきました。

プレビュー

 平安時代など、古い記録の中にもそうだろうと思われる記述があって、LGBTの人は昔からいた事が分かっています。全国の20~59歳を対象にした最新の調査では、LGBTの人は8%でした。沖縄では名字の割合で比嘉さんが4%を占めますから、その倍の人数ということです。

 恋愛感情が向く性別や体の性別とは独立している心の性別は、生まれる前から決まっていると言われています。だから、育てられ方や環境の問題ではないし、もちろん本人の責任でもありません。主義、主張でもないです。

 長い間、LGBTの人たちは心の病気と間違われ、治療の対象とされてきました。でも、1990年に心の病気ではないし、無理やり変えられるものではないと世界保健機関が宣言。94年に厚生労働省もこの基準を採用しました。2011年には国連人権理事会でLGBTの権利に関する決議が行われました。そのような世界と日本の歴史の流れがあって、最近になってLGBTという言葉を良く聞くようになったのです。

どんな好きもすてきな体験

 異性が好きな人(ヘテロセクシュアル)は、異性が好きってどうやって自覚するのかな? 好きっていう気持ちは、自分の中から自然に湧き上がってくるものだよね。同性が好きという気持ちも同じです。

 日本で行われた、おとなの男性への調査によると、ゲイであることをなんとなく自覚した平均年齢は13.1歳、はっきり自覚した平均年齢は17歳です。社会の中にはLGBの人たちへの差別や偏見が、まだまだ残っています。本当に残念なことに、間違った考え方に影響を受けた状態でLGBだと自覚すると、自分を責めてしまう子どもたちもいます。

 誰かを好きになるって、時には人生が変わるような素晴らしい体験です。誰もが自分を否定せず受け止められる社会を作るために、りゅうPON読者のみなさんが正しい知識を広める協力をして下さると嬉しいです。

徳永桂子(とくなが・けいこ) 思春期保健相談士。

 心が生きると書く「性」、心が生きて交わる・お互いの心を生かして交わると書く「性交」の漢字の通り、子どもたちがありのままの自分を肯定できるように。豊かなパートナーシップを築けるように。みんなで明るく肯定的に性について語れたらいいなと思って活動中。

 新報小中学生新聞に「ココロ・カラダ不思議つながり」を連載中。著書に「からだノート~中学生の相談箱」(単著)「LGBTなんでも聞いてみよう~中・高生が知りたいホントのところ」(共著)など。
 

~ この連載が本になりました ~

ココロ・カラダ不思議つながり

 
徳永桂子・著/上原明子・イラスト
A5変型判 128頁(オールカラー)

¥1,250(税抜き)