沖縄県名護市数久田の農業小屋で銃弾のような物が見つかり、ガラス2枚が割れる被害が出た。米軍が関連するとみられる過去の被弾事件では、米軍が否認するなどして全容は解明されていない。県警の捜査も日米地位協定の壁に阻まれ、難航することが多い。米軍が関与を認めたとしても結論を出すまでに数カ月を要し、詳細な情報は県民に明かされないのが実情だ。
沖縄の日本復帰後の流弾などに関連する事故を県がまとめた資料によると、28件のうち少なくとも6件について米軍は否認している。県基地対策課は22日以降、現場を訪れ、状況を確認する予定だ。県幹部は「米軍(の報告)を待っていたら半年かかる」と問題視する。
2009年の金武町伊芸被弾事件は事実上、米軍の弾丸と特定されたものの、被疑者不詳で書類送検されて不起訴処分となった。米軍は全面協力を約束しながら1年近く県警の基地内への立ち入りを認めなかった。
17年に発生した恩納村の米軍キャンプ・ハンセン内の安富祖ダム建設現場で銃弾が見つかった問題でも、米軍の報告は発生から7カ月近くを要した。沖縄防衛局が米側の報告を地元への報告用にまとめた資料は紙1枚だった。県警は約1年捜査したが、米軍から協力を得られず被疑者不詳で捜査を終えた。
日米地位協定は公務中の事件の第一次裁判権を米軍側に認めている。基地内立ち入りについても米軍が施設管理権を有しており、県警が捜査や調査をするには米軍側の同意を得る必要がある。