捕虜収容所跡に響く三線の音色 屋嘉で追悼演奏 


この記事を書いた人 Avatar photo 玉城江梨子
「屋嘉節」を演奏する琉球古典音楽野村流音楽協会石川支部の吉野久一師範とその門下生=23日午後0時15分、金武町屋嘉

 【金武】沖縄戦で多くの日本兵が収容された金武町の屋嘉捕虜収容所跡地に建つ石碑前で23日正午ごろ、琉球古典音楽野村流音楽協会石川支部の吉野久一師範(70)と門下生ら9人が追悼演奏した。追悼演奏は2年前から慰霊の日に合わせて行われている。今年で3回目。

 披露された民謡は「無情節」の曲調で歌われた「屋嘉節」など。「屋嘉節」は収容所にいる捕虜によって作詞されたといわれている。当時の生活の様子や捕虜として捕らわれた人の心情などが歌われている。

 収容所には当時、日本兵約7千人が収容され、236人が収容所で命を落とした。そのうち56人の名字が沖縄にある名字だったという。また約3千人がハワイ州オアフ島へ移送され、12人が命を落とした。

 正午を知らせる時報が鳴ると、追悼演奏のために石碑前に集まった参加者らは1分間の黙とうをささげ、追悼演奏をした。

 屋嘉収容所では物資が不足する中、お菓子の缶を使ってカンカラ三線が作られたと言われている。吉野師範はカンカラ三線を手にして、屋嘉節を演奏した。吉野師範は「屋嘉節と言えばカンカラ三線。(屋嘉節が作られた)当時と同じように演奏したかった」と話した。演奏会について「ここで亡くなった人に演奏を捧げ、未来に向かって私たちが歩んでいけるように演奏会を続けている」と話した。

正午を知らせる時報に合わせて祈りを捧げる参加者=23日正午、金武町屋嘉