南部工業、サヨナラ勝ち 延長十三回、タイブレーク 夏の甲子園沖縄大会第1日


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 第100回全国高校野球選手権記念沖縄大会の第1日は23日、コザしんきんスタジアムなど3会場で1回戦1試合、2回戦5試合を行った。南部工業と八重山商工の試合は一進一退の攻防が続き、4―4で今夏初の延長十三回タイブレークに突入。無死一、二塁から開始される状況の中、八重山商工の攻撃を抑えた南部工業がその裏に犠飛でサヨナラ勝ちした。八重山は美里工業に先制されるも中盤以降に勝ち越し、追い上げを振り切って5―4で競り勝った。球陽は沖縄高専を4―3で下し、夏の大会で11年ぶりの勝利となった。前原は2―0で宮古工業を退け、八重山農林は11―1で本部に七回コールド勝ち。宮古も南部農林を19―0の五回コールドで制した。24日は2回戦9試合が行われる。

南部工業―八重山商工 延長十三回1死満塁 サヨナラの犠牲フライをセンターに放つ南部工業の上原大雅=23日、宜野湾市のアトムホームスタジアム宜野湾

◆投打の要・上原が犠飛 南部工業
 この夏、全国で初めて延長タイブレークまでもつれ込んだ南部工業―八重山商工戦は、それまでヒットがなかった南部工業の4番でエースの上原大雅が十三回、勝負を決めた。「投打でチームに迷惑をかけていた。最後は自分が決めようと思っていた。疲れました」とほっとした様子で振り返った。

 点を取っては取り返す一進一退の展開から八回に2点を勝ち越した。しかし、完投を目指した上原が九回2死から四球と連打で追い付かれた。「裏の攻撃だからとにかく1点を取ろう」(新川聖監督)と意気込むも、延長に入り互いに決め手を欠いた。

 十三回、無死一、二塁からスタートするタイブレークに突入した。八重山商工の攻撃をしのいだ後の攻撃。好機は1死満塁に広がり上原大に打席が回った。「打席に入ってから記憶がないくらいに集中していた」。振り切った当たりはバットの先だったものの、自慢のパワーで外野まで飛んだ。中堅手が打球を追いかけ体勢を崩した状態で捕球するのを確認すると三走の上原海がスタート、サヨナラの本塁を踏んだ。上原海は「勝利の1点のホームを気持ちよく踏めた」と笑顔だった。

勝負を決める5点目のホームを踏みチームメートに出迎えられる南部工業の上原海(左)

 勝利の余韻が冷めやまないチームメートと保護者だったが、その様子を横目に上原大の顔は引き締まった。「投球も打撃も一球一球集中していきたい」。気持ちは既に次戦へと向かっていた。 (屋嘉部長将)

 ●チャンスで点が取れなかったことを悔やむ八重山商工の大嶺士優主将「いい試合はできたけれど、最後の最後でチャンスで点が取れなかった。力の差はなくてもチャンスをものにする気持ちが相手との差だった。やり切っていないところもあるが、最後に楽しい試合ができた。これからの人生のいい経験にしたい」