名護市議会の軍事基地等対策特別委員会(翁長久美子委員長)は27日、委員会を開き、名護市数久田の農園で銃弾のような物が発見されたことに対し、早急に原因究明を求める抗議決議と意見書両案を本会議に提案することを全会一致で可決した。7月2日の本会議でも全会一致で可決する見通し。
抗議決議は米軍に、意見書は県警と沖縄防衛局宛て。
県警は弾のような物を米軍の銃弾と特定していないが、委員会は抗議決議に踏み込んだ。翁長委員長は「レンジ10を一時閉鎖した時点で、米軍は銃弾を自分たちのものと認めたようなものだ」と述べた。委員らは27日、現場を訪れ、農園を管理する小嶺雅彦さんの立ち会いの下、破損した窓ガラスや壁の銃痕とみられるものを確認した。
21日にも現場を訪れたが、県警が規制していたため状況を把握できなかった。
■「全演習廃止」の声も 米軍断定できず見送り
名護市議会軍事基地等対策特別委員会では、抗議決議と意見書の両案に、米軍キャンプ・シュワブをはじめとする在沖米軍全施設での実弾射撃訓練の中止を求める文言を入れるべきだとの意見も出た。
一方で、県警が現在も捜査中で米軍の物と断定されていないことから、慎重意見も強く、今回は早急に原因を究明するよう求めるだけの文言にとどまった。
米軍からの流弾だと断定された場合は「即時に在沖米軍全施設での実弾射撃訓練廃止を求めたい」(翁長久美子委員長)との構えだ。農園管理者への補償も求めていく。
名護市議会が今回の件に対して強い姿勢で臨んでいるのは、米軍からの流弾事故が市内で相次いで起きてきた経緯がある。
名護市内で過去に発生した流弾事故は、6件のうち5件がキャンプ・シュワブのレンジ10から撃たれた機銃弾だった。残り1件もレンジ10からの銃弾である可能性が高く、事故が発生する度に市議会は演習中止やレンジ10の実弾演習廃止を強く求めてきた。
しかし、その度に一時的に訓練は中止されるものの、レンジ10の閉鎖にまでは至ってこなかった。