沖縄県中学総体・空手道 伊礼寿(嘉手納)男子組手2冠


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 2018年度県中学校総合体育大会の先行競技となる空手道の第21回県中学校大会は6月30日、那覇市の県立武道館アリーナで行われた。個人組手男子は伊礼寿央貴(嘉手納)が初の栄冠を手にした。伊礼は嘉手納のメンバーとして、団体組手男子も制して2冠を獲得した。嘉手納は15年ぶり2度目の頂点。個人組手女子は三枝穂乃香(名護)が2連覇を果たした。個人形は男子の島袋生成(沖縄尚学)、女子の田場琳奈(仲西)がともに初優勝した。団体組手女子は屋部が9年ぶり2度目の栄冠。団体形は伊良波が男女とも優勝し、男子は3年ぶり2回目の頂点で女子は2連覇。個人4位までと団体2位までは九州大会(8月3~6日、佐賀県)、個人と団体の準優勝までは全国大会(8月16~20日、宮崎県)の出場権を獲得した。

◇伊礼寿、15年ぶりへけん引 個人戦は大差で勝ち抜く

男子団体決勝 嘉手納―伊良波 激しく突きの応酬をする嘉手納中堅の伊礼寿央貴(左)=6月30日、県立武道館(石井恭子撮影)

 男子組手の伊礼寿央貴(嘉手納3年)が2冠を達成した。嘉手納男子としては、個人と団体でいずれも15年ぶりの栄冠。下がりがちな体勢による失点が多かったことから「自分を変えた」とこの日は前に前に出て、個人戦を大差で勝ち抜いた。

 団体戦は4連覇を狙う伊良波との決勝に。敗れた昨年と同じ因縁のカードだった。先鋒(せんぽう)で先行され、伊礼は負けられない中堅戦を迎えた。「かたきを取る」。伊良波・中堅の金城に対し、速攻で上段突き、中段蹴り、上段突き、中段蹴りと着実に6ポイントを積み重ねて突き放した。これで1―1とした。最後に「落ち着いて勝ってこい」と託したのが、弟の龍寿(1年)だった。

 上背のある伊良波の大将・栗田に対し、小柄な龍寿は「身長差があっても高い人の方がやりやすい」とひるまなかった。兄の得意な中段突きを、自宅で父に相手をしてもらい、練習した。それが生きてラスト20秒、栗田の懐に飛び込み、カウンター的にワンツースリーの上段突きを決めた。

 先鋒で敗れた国吉展空(3年)は熱戦を寿央貴と共に見守った。頂点にうれし涙と悔し涙が半分ずつの国吉は、目を赤くして「(みんな)やってくれると思っていた」。勢いに乗る嘉手納。去年16強の全国では4強入りを狙う。国吉は「今年は行きます」と言葉じりに決意をみなぎらせた。(石井恭子)