経済

「はいたいコラム」 人々を笑顔にするマーケット

 島んちゅのみなさん、はいた~い!先日、東京で、人が集まる公共空間としてのマーケットをテーマにしたトークショーがありました。

 マーケットを研究する鈴木美央さんの著書「マーケットでまちを変える」の出版記念で、もう1人の登壇者は、東南アジアをはじめ国内外の「屋台」を研究している中村航さんです。

 2人とも本業は建築家で、研究対象がマーケットと屋台という、いずれも道路や公園などの公共空間における経済活動です。箱ものの時代が終わりを告げて久しいですが、新しい感性のお2人は、そうした物質的なデザインより、空間内で繰り広げられるソフト=人と人のコミュニケーションに注目しているのです。

 鈴木さんは以前、ロンドンの設計事務所に勤めていましたが、「すべての人が幸せな日常を送るために建築ができること」を考えた結果、「小さな要素の集合であるマーケットが大規模建築以上にまちに大きなインパクトを与える」と確信したそうです。さらに、マーケットにより地域住民がシビックプライド(街への愛着)を持ち、街づくりを自分ゴト化し、まち全体が活気づくというお話でした。

 また中村さんは、「ストリート・オリエンテッド」と表現しました。意訳すると、「ストリート志向、道路上(街角スタイル)で行こう」という感じでしょうか。

 週末だけ開催のロンドンのマーケット、朝と夜では売り物も雰囲気もガラリと変わるアジアの屋台、いずれも交通が主目的の道路空間が、時間限定で楽しく集う場になるのです。

 沖縄のマーケット(市場)で、印象に残っているのは、迫力あるチラガーやグルクンが並ぶ牧志公設市場、豊かな島野菜に驚くうまんちゅ市場(糸満市)などです。

 旅先の市場や屋台がおもしろいのは、その地域が見えて来るからです。市場は暮らしを支え、旅人には国や地域の文化を伝えるメディアであります。

 所有よりシェア、物質より経験や関係性、社会性が価値を持つ時代に、マーケットは可変的でサステイナブルなこれからのライフスタイルを表しています。マーケットで交換しているのは、物とお金だけでなく、笑顔、会話、情報、感謝といった心の充足でもあるでしょう。ということは、最先端の技術が発達した未来に生き残るものこそ、市場なのかもしれませんね。

(フリーアナウンサー・農業ジャーナリスト)

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小谷あゆみ(こたに・あゆみ) 農業ジャーナリスト、フリーアナウンサー。兵庫県生まれ・高知県育ち。NHK介護百人一首司会。介護・福祉、食・農業をテーマに講演などで活躍。野菜を作るベジアナとして農の多様性を提唱、全国の農村を回る。

(第1、3日曜掲載)