社会参加する力の育成を目指す琉球新報と沖縄キリスト教学院大の共同企画「沖縄から育む市民力」は6月24日、第1回公開講座として「レッジョ・エミリアに学ぶ幼児からの社会参加」を西原町の同大で開いた。沖縄アミークスインターナショナル幼稚園教頭のウェッブ・サエコさんが講師を務め、一つのテーマから想像力を広げてアート作品や活動プログラムをつくるワークショップを開いた。保育関係者ら30人以上が参加した。
レッジョ・エミリアはイタリアにある都市の名前。第2次世界大戦後、地域の親たちが「子どもたちに新しい教育を」と幼児教育法をつくり上げた。子どもと大人が丁寧なコミュニケーションを重ねて美的で探究的な活動を行い、共に育ち合う中で独立した個人を育てるとして世界で注目されている。ウェッブさんは5月、現地を視察した。
現地の保育園では、保育者のほか教育と芸術の専門家が「どうすれば子どもが楽しく学べるか、時間を忘れて話し合っている」とウェッブさん。子どもの日常会話に耳をそばだててその関心を聞き逃さず、活動のテーマに取り入れるという。「指示するのではなく、子どもを見守り、関心を引き出し、奮い立たせることこそ大切」と力を込めた。
レッジョ・エミリアの活動では一つのテーマを多角的に深める。「ゾウ」がテーマなら音楽でゾウの歌を歌い、算数で足や目の数を数え、社会では世界中のゾウの種類を知るといった具合だ。24日の講座ではグループに分かれて「風」をテーマに活動を体験した。
参加者らは和気あいあいと折り紙やテープを使って自由なアート作品を作り、多角的な活動案も考えた。「地域を散歩し、風や匂いの地図を作る」「風を肌で感じ『北風と太陽』の劇を作る」「風車から風力発電を学ぶ」など多様なアイデアが膨らんだ。
保育園で働く普久原サオリさん(43)は「自由に物を作る楽しさを思い出した。普段はおもちゃに頼っていたかも」と語った。保護者として参加した小渡早香さん(37)は「子どもの考えをつぶさないという指摘にどきっとした。子どもの関心を形にするのは夏休みの宿題にも使えそう」と充実した笑顔を見せた。
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ウェッブ・サエコさんの沖縄アミークスインターナショナル幼稚園での実践は27日付で紹介します。