八農、九回大逆転 16強出そろう 夏の甲子園沖縄大会第8日


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 高校野球の第100回全国選手権記念沖縄大会の第8日は8日、3球場で3回戦8試合を行い、16強が出そろった。八重山農林は九回に打線が爆発して4点差を跳ね返し6―5で首里に逆転勝ちした。宮古総実は延長十二回サヨナラで中部農林に4―3で競り勝った。中部商業は4―2で与勝を制し、興南は少ない好機を逃さず3―1で八重山に逆転勝ち。陽明は5―2で開邦を下し、首里東は2―1で宜野湾に勝利した。那覇は10―0の六回コールドで那覇国際を退け、嘉手納は14―0の五回コールドで球陽を破った。14日から4回戦が始まり、2球場で4試合を行い、15日も2球場で4回戦4試合が行われる。16日は準々決勝4試合を予定している。

◆打撃猛練習「奇跡」呼ぶ/八農

首里―八重山農林 9回無死一、二塁、2点適時二塁打を放つ八重山農林の2番・宜間遥希=8日、沖縄セルラースタジアム那覇(又吉康秀撮影)

 八回を終え首里に1―5とリードされ、窮地に立たされた八重山農林。三塁側の首里スタンドは在校生ら約千人が勝利目前の大応援で盛り上がった。四回から登板していた嘉弥真大輔は「敗戦覚悟の半泣きの投球」で、ベンチも静まる。だが、砂川玄隆監督は嵐の前の静けさだと、徹底した打撃練習に裏打ちされた爆発力を信じ、あきらめていなかった。九回表、代打・平田極がその指揮官の描いた反撃の口火を切った。

 予期せぬ起用に「マジか」と焦ったという平田だが、「好きな直球を全力スイングで」とまず中前打で出塁した。続く9番仲野太陽が右前打を放つと、後は誘爆していくだけ。打球は次々と外野へ運ばれた。1番石垣永恭の適時打。無安打だった2番宜間遥希も「絶対途切れさせない」と2点適時打でつなぎ、八回に自身の失策で5点目を奪われた3番鷹野蒼治郎が「取られたら取り返す」と無心の打撃で適時打で続き、瞬く間に振り出しに戻した。

 こうなると、次は一塁側応援席が大騒ぎ。首里は投手を代えたが、八重山農林の勢いに押される形で暴投し、鷹野が逆転の生還を果たした。土壇場で試合をひっくり返した仲間に嘉弥真は「うれしくて言葉にならない」気持ちをうまく抑え、その裏は2連続三振で試合を締めた。

 砂川監督は保護者らに「選手らが奇跡を起こしてくれました」と笑顔で報告。しかし、取材には「朝から打ちっ放しの猛練習を続けてきた。平田は練習試合でもピンポイントで結果を残しており、他の選手も決めてくれると思っていた」と胸を張った。

 野球の醍醐味ともいえる起死回生の逆転劇。主将の鷹野は「みんながつないで返してくれた。ありがとうの気持ちでいっぱい」と笑顔。保護者へのお礼のあいさつでは感極まり涙し、「次も応援お願いします」と次戦の活躍を誓った。
 (嘉陽拓也)

<8日の結果>
▽3回戦
興南 3―1 八重山
八重山農林 6―5 首里
那覇 10―0 那覇国際
  (六回コールド)
宮古総実 4―3 中部農林
  (延長十二回サヨナラ)
中部商業 4―2 与勝
嘉手納 14―0 球陽
  (五回コールド)
首里東 2―1 宜野湾
陽明 5―2 開邦