闘牛、うるま市文化財に 「宮城島のヒータチ」は史跡


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シーの一番、全島一を懸けて有心邁進龍(右)に挑む挑戦牛の伊良皆圧送大進撃(左)=うるま市石川多目的ドーム

 【うるま】うるま市教育委員会(嘉手苅弘美教育長)は10日の定例会で、「うるま市の闘牛」を市の無形民俗文化財に指定することを決定した。闘牛関係者からは「長年、文化財に指定されることを望んでいたのでうれしい。感無量だ」と喜びの声が上がった。闘牛が文化財に指定されるのは沖縄県内では初めて。

 うるま市闘牛組合連合会は昨夏、市無形民俗文化財指定に向け同委員会に申請書を提出した。6月18日、市文化財保護審議会は歴史の深さや地域を代表する文化として広く市民に親しまれている点が評価できると同委員会に答申していた。

 県外では宇和島(愛媛県)や隠岐(島根県)などで文化財指定がされているが、県内での文化財指定は例がなかった。

 うるま市闘牛組合連合会の大城秀司会長は「先人たちが築いてきた闘牛文化は観光や若手の育成に大きな励みになる」と声を弾ませた。県闘牛組合連合会の幸地政和会長は「県内18ある闘牛組合の関係自治体でも文化財に指定してほしい。今後、県の文化財指定に向けて働き掛けていきたい」と語り、全県的な動きにつながってほしいと期待した。うるま市観光物産協会の神村盛行理事長は「今後は『貸切闘牛』などの企画を通し、伝統文化としての闘牛を国内外に広くPRしていきたい」と意気込んだ。

 「宮城島のヒータチ(火立て)跡」も史跡指定された。

<解説>愛護意識高まり文化を積極評価

 うるま市闘牛組合連合会の大城秀司会長は「先人たちが築いてきた闘牛文化は観光や若手の育成に大きな励みになる」と声を弾ませた。県闘牛組合連合会の幸地政和会長は「県内18ある闘牛組合の関係自治体でも文化財に指定してほしい。今後、県の文化財指定に向けて働き掛けていきたい」と語り、全県的な動きにつながってほしいと期待した。うるま市観光物産協会の神村盛行理事長は「今後は『貸切闘牛』などの企画を通し、伝統文化としての闘牛を国内外に広くPRしていきたい」と意気込んだ。

 「宮城島のヒータチ(火立て)跡」も史跡指定された。

 うるま市教委による闘牛の文化財指定は、娯楽として長らく親しまれてきた闘牛を沖縄の文化として積極的に評価し、さらに保護、発展させていこうという意思の表れだ。

 沖縄の闘牛は、戦時中の中断を経て、戦後も早い段階に再開され、多くのファンに愛されてきた。地域単位の大会から全島大会も開催され、観客動員の多さは国内屈指とも言われる。大衆娯楽として独自の発展を遂げており、近年、観光資源としても注目されている。

 一方、動物を闘わせることは愛護、保護の観点から国際的に規制する動きがある。日本の動物愛護管理法も5年に一度の見直しを規定し、社会情勢や世論の高まりに対応できる仕組みになっている。動物愛護の意識の高まりの中で、闘牛を地域の固有の文化としてどのように評価し、保護していくのかの議論は避けられない。

 既に文化財指定を受けている新潟や愛媛など闘牛が盛んな地域では、地域文化としての発信を積極的に行い、継承につなげる取り組みを進めている。先行例も参考に、どのような施策やキャンペーンを実施できるか、文化財指定後の今後の動きがより重要となる。闘牛が盛んなうるま市で県内初の指定となったが、全県的な機運の高まりも必要だ。
 (上江洲真梨子)