経済

「はいたいコラム」 農泊は地域の心の活性化

 島んちゅのみなさん、西日本豪雨に台風と気象の害が続きます。お見舞い申し上げます。先週は大分県宇佐市で開かれた安心院町グリーンツーリズム研究会の大会に参加してきました。1996年に発足した農泊の研究会で、現在70戸が年間1万人を受け入れています。

 農泊の主役といえば農家のお母さんのイメージですが、今回「私のおもてなし」と題して発表したのは、70代のお父さん3人でした。修学旅行で来る生徒の名前を覚えるのが大変なこと、いい人に見せようと笑顔に努めているなど、苦労しながらも楽しんでいる様子でした。

 農泊体験は、食に対する責任感や当事者意識を育て、農業への理解を生みますが、生徒側だけでなくホスト側の農家の心も活性化しているのが印象的でした。安心院で農泊が始まって22年たちますが、今でも年に5回勉強会を開いて発表し、料理や体験メニューを教え合うなど、日々進化し続けていました。

 農泊とは、わが家の暮らし方、衣食住を他人にさらけ出して提供することです。よりよい農泊の受け入れ家庭になることは、「よく生きる」ことにほかなりません。「他者を受け入れる」ことは多文化の学びであり、成長です。安心院の皆さんはそれに気付いているから、お父さんもお母さんもイキイキ前向きで朗らかなのだと感じました。これ以上の生涯学習、地域活性化策があるでしょうか。

 さて、沖縄にも、島らしさを生かしたツーリズム活性化策がありますね。石垣市の久宇良公民館は、地元業者による観光を認定し、地域の力にしようとしています。石垣牛生産者の展望デッキと石垣牛バーガー、久宇良サバニツアー、ヤギ生産者の新垣信成さん(36)は、「ゴートツアーズ流れ星の丘」代表としてヤギの飼料の草地を活用した星空ツアーや民泊にも取り組みます。西表石垣国立公園は、国際協会に認定された日本唯一(現在)の「星空保護区」でもあるのです。

 「住む人が中心となれば、来る人にも居心地のよい観光地になる。この素晴らしさを理解する人が増えれば、島の農産物もヤギも売れる」と新垣さんは話してくれました。

 経済だけでなく、地元の人が誇りを感じて暮らす島は、内なる輝きを放つものです。そうした人々の心の持ちようが地域を美しくするのではないでしょうか。

(フリーアナウンサー・農業ジャーナリスト)

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小谷あゆみ(こたに・あゆみ) 農業ジャーナリスト、フリーアナウンサー。兵庫県生まれ・高知県育ち。NHK介護百人一首司会。介護・福祉、食・農業をテーマに講演などで活躍。野菜を作るベジアナとして農の多様性を提唱、全国の農村を回る。

(第1、3日曜掲載)



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