高校野球の第100回全国選手権記念沖縄大会の第9日は14日、沖縄セルラースタジアム那覇とコザしんきんスタジアムの2球場で4回戦計4試合を行った。美来工科は延長十四回タイブレークの末にサヨナラ勝ちで、第1シードのKBC未来を7―6で下した。北山は4―3で豊見城に競り勝ち、38年ぶり3度目の8強入りを果たした。糸満は9―5で真和志を下し、第4シードの沖縄尚学は10―1の八回コールドで読谷を退けた。15日も2球場で4回戦4試合を行い、8強が出そろう。16日は準々決勝が行われる。
◇美来工科・玉城 14回の熱戦決める殊勲打
走者2人がホームを駆け抜け、それを見届けた美来工科の玉城幸人が一塁ベース付近で何度もほえた。延長十四回裏、試合を決めるサヨナラ安打を放ち両手を挙げる殊勲者を笑顔で迎えるメンバーたち。第1シード・KBC未来との3時間26分の熱戦を制し、試合後、勝利の余韻に浸る選手の姿に、眞玉橋元博監督は「総力戦で持てる力を出し尽くした。勝てて良かった。すごい子どもたちですよ」と笑顔で褒めた。
苦しい戦いだった。美来工科は四回、敵失で先制したが、五回に逆転を許した。すぐに玉城、比屋根京介、比嘉真大の適時打など5安打を集中させ再逆転したものの、再び、バントヒットなどの小技を使われ、振り出しに戻された。「(小技などは)KBCをまねはできないから強打で打ち勝つ」(眞玉橋監督)と代打攻勢に出るも1点が遠く、延長戦に突入した。
十四回にKBC未来に勝ち越しを許し、追い詰められたその裏、2死満塁の場面で玉城が打席に。2ストライクと追い込まれ、弱気になりかけた。しかしスタンドからの声援と仲間たちの「やってこい」という表情に気持ちを切り替えた。練習していた外のスライダーに反応し、振り抜いた打球は、右翼のライン際に転がり、逆転の一打となった。「絶対に打って次の試合もプレーしたいと思っていた」と振り返る玉城。勝利に満面も「(捕手として)守備から流れをつくりたい。守備でチームを支えながら、チャンスメークし、後ろにつないでいきたい」と次戦に向け語る言葉が熱かった。(屋嘉部長将)
<14日の結果>
▽4回戦
糸満 9―5 真和志
沖縄尚学 10―1 読谷
(八回コールド)
美来工科 7―6 KBC未来
(延長十四回タイブレーク)
北山 4―3 豊見城
<15日の試合>
▽4回戦
【セルスタ】9時
興南―首里東
那覇―陽明
【しんきん】9時
中部商―八重山農林
宮古総実―嘉手納