[ココロ・カラダ不思議つながり]56 やる気が出でない どうすればいい?


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Q.やる気が出でない どうすればいい?

 

 今日の質問は、
「学校になじめるか心配していたのですが、クラスにも溶け込めて、クラブでも友だちができて毎日が順調です。それなのに今ごろになって、何となくだるくてやる気がでません。気を抜かないで勉強しないと付いて行けなくなるよと親にも言われるのですが、勉強をする意味も分からなくなってきました。どうしたらいいですか? これって治りますか?」

 です。高校1年生からです。

A.休むのも大切 睡眠は十分に

 

 高校は、今までとは違って広い地域からいろんな人が集まるし、勉強も単位を取らないといけないので、入学する前から人間関係でも学校生活でも不安がいっぱいだったよね。それをしっかり乗り越えて「順調」と言い切れる状況を作ったのは、あなたの努力の結果です。まずは素晴らしい成果に拍手を送りたいと思います。

身体と心のSOS

 その上でだけど、質問からあなたが頑張り屋さんということが伝わってきます。もっとできるはず、もっとやらなくちゃ取り残されると無理していないかな? たぶん、緊張の中で周りに気を配り、勉強もクラブも頑張ってきたんだと思います。やる気がでない、答えの出ない問いをぐるぐる考えてしまう、という今の状態は、身体と心のSOSです。休むことはダメとかサボることではないですよ。逆に必要なことです。

 特に睡眠が大切です。ぐっすり寝ていて、しかも夜中の0~2時の間をピークに出る成長ホルモンは、あらゆる元気・やる気を作り出しています。

 クラブが運動部なら、思春期で運動している人に必要な睡眠時間は10時間。プロテニスプレイヤーとして活躍した松岡修造さんは現役のとき、おとなだけど10時間も睡眠を確保していたそうです。これは筋肉や持久力を作るだけではなく、けがをしにくくする効果もあるんですって。

 さらに、しっかり眠ると血圧や体温を調節することができるので、朝すっきり起きることができます。また、集中力や記憶力にも関係するし、心を落ち着かせるホルモンがきちんと出ることにもつながります。睡眠がずっと短いと身体と心の調子を崩します。最近は、入院して治療をする必要がある10代も増えています。

どんな好きもすてきな体験

プレビュー

 それともう一つ。時間が短くなっているのと同時に、寝る前のスマホ・ゲーム・PC・テレビなどの光の刺激で脳が興奮し、寝つきが悪くなったり、睡眠の質が悪くなっている人も多いです。夜は電灯も少し暗くしておくと良いですよ。

 それでは困るという人は早起きしましょう。起きてから外に出て太陽を見る・スマホチェックすると、すっきりとした頭で勉強が進んで効果的です。

 病院での治療でも朝、強い光を浴びます。早起きするとおなかも空くから朝ごはんもしっかり食べられて完璧! やりたいことがいっぱいで難しいとは思うけれど、優先順位をつけて計画的に行い、生活リズムを整え、睡眠時間はしっかり確保して、身体と心の健康を保ってくださいね。

徳永桂子(とくなが・けいこ) 思春期保健相談士。

 心が生きると書く「性」、心が生きて交わる・お互いの心を生かして交わると書く「性交」の漢字の通り、子どもたちがありのままの自分を肯定できるように。豊かなパートナーシップを築けるように。みんなで明るく肯定的に性について語れたらいいなと思って活動中。

 新報小中学生新聞に「ココロ・カラダ不思議つながり」を連載中。著書に「からだノート~中学生の相談箱」(単著)「LGBTなんでも聞いてみよう~中・高生が知りたいホントのところ」(共著)など。
 

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ココロ・カラダ不思議つながり

 
徳永桂子・著/上原明子・イラスト
A5変型判 128頁(オールカラー)

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