未発達台風、沖縄ほんろう 新たに熱帯低気圧、また警戒


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
暴風警報が解除され、観光地には徐々に客足が戻った=21日午前11時45分ごろ、那覇市の首里城公園

 台風10号は21日、沖縄本島北部付近を通過し北上した。海水温の低下や空気の乾燥が影響して勢力が発達せずに暴風域を持たず、台風の中心付近が通過した本島でも風雨は前日までの予想より弱かった。沖縄県内各地の警察署や消防署などへの取材によると、21日午後3時現在、台風による被害情報は入っていない。一方、フィリピン付近の海上では、20日午後3時に新たに熱帯低気圧が発生した。今後は勢力を発達させながら22日には台風となり、23日朝ごろに先島諸島周辺に接近する見通し。台風10号が通過したばかりだが、既に次の台風の動向に警戒が必要となっている。 

 台風10号による本島中南部の暴風警報は21日午前8時10分に解除された。同日午前の休業を決めていたスーパーや観光施設は、午前で通常営業に戻すなど台風の動向に振り回された。航空便や船便は欠航が相次いだ一方、本島内の路線バスや沖縄都市モノレールは実際の台風の勢力を踏まえ、運行を再開した。

 台風10号接近に伴い、20日時点では21日朝から夕方まで暴風が予想され、沖縄気象台は厳重な警戒を呼び掛けていた。多くの小中高校が夏休み初日となる中、前日時点でイベントの中止や延期が相次いで決まった。

 しかし、実際には午前のうちに晴れ間も見えるなど、台風が接近しているとは思えない予想外の天候となった。午前のうちに外出する家族連れや友人同士らの姿も見られた。

 台風10号は中心付近が通過した本島よりも、東側に位置していた大東島地方の方が風雨が強まった。北大東空港では21日午前1時3分に最大瞬間風速31・4メートルを記録した。20日午前0時から21日午後4時までの総降水量は南大東村在所で67・5ミリ、本島内では国頭村比地で40・5ミリをそれぞれ観測した。

 台風10号は21日午後9時現在、那覇市の北西約320キロの東シナ海上にあり、時速約20キロで北西へ向かっている。台風は今後、東シナ海を北西へ進み、22日夜ごろには中国大陸に上陸する見通し。