池本「世界」へ大事な一戦 ボクシング・日本女子フライ級初代王者


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日本タイトル戴冠後の初試合に向け、仲井眞重春トレーナーとスパーリングする池本夢実(左)=20日、宜野湾市の琉球ジム

 ボクシングの日本女子フライ級初代王者・池本夢実(琉球ジム)が29日、カルレーン・リヴァス(フィリピン女子フライ級チャンピオン)と8回戦を行う。6戦5勝1敗の池本に対し、OPBF東洋太平洋4位のリヴァスは11戦6勝5敗。オープン試合だが、東洋太平洋や世界タイトルを目標とする池本にとっては大事な一戦となる。「(初めての)KO、もしくはしっかり勝てば世界ランクに入れるチャンス。負けられない不安もあるがそれをエネルギーに変えたい」と必勝を期す。 (石井恭子)

 試合は世界ボクシング機構(WBO)ライトフライ級王者の天海ツナミ(東京・山木ジム、うるま市出身)がグレッチェン・アバニエル(フィリピン)と行う初防衛戦のセミファイナル。宜野湾市のコンベンションセンターアリーナ棟で行われ、アンダーカードは午後3時から始まる。

 池本とリヴァスはともに右ファイター。池本は8ラウンドは初めてで、体力強化を目的に男子中高生とのスパーリングもこなした。「体力は大丈夫」と自信を深める。対するリヴァスは足を使って間合いを取る苦手なタイプだ。「ワンツーから深く間合いを詰めて、ボディーから上につなげられれば」と展望する。

 ジムの仲井眞重次会長は「今まではコンビネーションができなかったが、100ラウンドほどスパーする中で上下が打てる形になってきた」と納得顔だ。

 アジアや世界に近づく中で池本自身、全てのパンチを強く当てようとしたこれまでの力技から脱し、「捨てるパンチと詰めるパンチの両方がある。1で取らずに2、3で取る」と試合運びにも変化が生まれている。まだ実現していないKO勝利に向け、勝負を決めきる体力をつけようと筋力トレーニングにも力を入れてきた。

 琉球大学の4年生。3月の日本タイトル戴冠後、故郷の静岡県・川根本町への凱旋(がいせん)でもらったたくさんの声援や、琉球ジムで練習する子どもたちの期待を背に負う。「仲井眞会長と(仲井眞重春)トレーナーの指示通りやってきた。特に心配はなく、落ち着いてやればできる」。デビューから2年。学業やアルバイトも怠らず、日がたつごとに速さと強さを増した拳で、今よりもっと高い場所へと上っていく。

 チケットなどの問い合わせは琉球ジム(電話)098(893)6670まで。