承認撤回、求心力高める効果も 翁長知事、知事選へ去就注目


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
記者会見に臨む沖縄県の翁長雄志知事(手前)=27日、沖縄県庁

 翁長雄志沖縄県知事が、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画に伴う埋め立て承認の撤回を決断した。辺野古新基地建設工事を阻止するための「最大の知事権限」とされる撤回に踏み切ることで、政府が工事を強行する中で新基地建設反対の県民世論を盛り上げ、政治的な求心力を高める狙いもあるとみられる。

 今後は政府が対抗措置として起こす代執行訴訟への対応、さらには11月18日の知事選に向け、撤回を節目に政治的な動きが目まぐるしくなるのは必至だ。一方、膵(すい)がんの回復治療に臨んでいる翁長知事は自身が2期目に出馬するかどうかをまだ明らかにしておらず、その去就が注目される。

 翁長知事は辺野古新基地建設の阻止を「県政の最重要課題の一つ」と掲げてきた。2期目に向けて出馬する場合もその立場は変わらないとみられ、11月の知事選で大きな争点となる。

 知事にとっては承認撤回、代執行訴訟、知事選、その後に予想される県民投票など一連の流れの中で、前面に立って訴訟や演説をこなし、辺野古新基地建設阻止に向けた揺るがない姿勢を内外に示すことが不可欠となる。

 翁長知事はがん切除手術後の休養を経て公務に復帰し、少しずつ公務を増やしてきた。欠席の可能性もささやかれた県議会6月定例会や6月23日の沖縄全戦没者追悼式典にも出席し、順調に回復しているとの見方が広がった。だが27日に札幌市で開催された全国知事会議にも出席する予定だったが、長時間の飛行機での移動は厳しいとの主治医の助言を踏まえ、公務復帰後で初となる予定だった県外出張は断念した。

 承認撤回を機に再び新基地建設を巡る県と政府の対立が激しくなる中、知事の体調面もその行方に影響を及ぼしそうだ。