洞窟だけに生息する新種のアリが沖縄県内で見つかった。九州大学総合研究博物館の丸山宗利准教授のグループが25日までに発表した。洞窟だけに生息するアリの発見は国内初で、世界でも2例目。養蜂家で昆虫を研究する名嘉猛留さん(40)=沖縄市=が昨年、本島中部の洞窟で発見した。アシナガアリ属の一種で「ガマアシナガアリ」と名付けられた。研究は23日に学術誌「Zootaxa」電子版で発表された。
見つかったアリには、洞窟に生息する生き物の特徴である体色の色素や目の退化、脚と触角の発達などが見られた。
洞窟は光が入らず植物が育たないため一般的に生物が栄養分を取りにくい。一方、アリは必要な栄養分の量が多く、洞窟内で暮らすのは難しいとされていたが、今回、コウモリのふんを餌にし、栄養を取っている可能性が高いと分かった。
丸山准教授は「沖縄の豊かな自然が育んだ生物だ。ヤンバルクイナやヤンバルテナガコガネと同等か、それ以上の価値があるのではないか」と強調した。
発見した名嘉さんは「生態面でも一歩進んだ知見をもたらした。今後の研究にも期待できる」と喜び、「生物多様性のシンボルになるだろう。併せて貴重種の保全対策を急がなければいけない」と話した。
これまで洞窟性のアリとして考えられていたのは、2003年にラオスで発見されたハシリハリアリ属の一種のみだった。