天海TKO初防衛 WBO世界女子Lフライ級


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4回 相手をロープに追い込み連打を浴びせTKOで勝利を決めた天海ツナミ(左)=29日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター展示棟(中川大祐撮影)

 世界ボクシング機構(WBO)女子ライトフライ級タイトルマッチ10回戦は29日、沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで行い、うるま市出身の33歳の王者天海ツナミ(山木)が挑戦者のグレッチェン・アバニエル(フィリピン)に4回1分33秒TKO勝ちし、初防衛に成功した。天海は相手のガードに苦しんだが、徐々に有効打が増え、4回は連打で攻め続けた。3月に世界ボクシング協会(WBA)スーパーフライ級との2階級制覇を達成しており、戦績を25戦16勝(11KO)9敗とした。日本女子フライ級初代王者の22歳の池本夢実(琉球)は、フィリピン女子フライ級チャンピオンのカルレーン・リヴァス(フィリピン)と8回のオープン試合として対戦。終始主導権を握る形で3―0で判定勝ちした。この日はこのほか、4試合が行われた。

◆4回、勝利確信 猛ラッシュ/33歳、6階級に意欲

 4回、ロープ際で丸まった相手に激しいラッシュをたたき込む。レフリーが止めに入り1分33秒、TKO勝ちが決まった。会場は大きな歓声に包まれ、“天海(てんかい)コール”が湧き起こる。天海ツナミ(山木ジム)は満面の笑みでグローブを突き上げた。

 世界ボクシング機構(WBO)ライトフライ級現王者で、約10年ぶりの故郷・沖縄での試合。登場曲はザ・BOOMの「島唄」で試合開始前から会場は盛り上がった。しかし「(このタイトルでは)初の防衛戦で、沖縄というのもあり、緊張していた」が本音だった。

 しかし、ゴングが鳴ると、王者らしい落ち着いた姿があった。元WIBA世界ミニマム級王者のグレッチェン・アバニエル(フィリピン)のスピード、堅いガードにも動揺したそぶりを見せず、しっかりと対応。序盤は手数を出しながらもアバニエルの堅いガードをなかなか崩せず攻めあぐねたが、焦らず、ステップでリズムをつくった。

 左右のジャブから組み立て上下に打ち分ける得意のスタイルを続けた。3回から徐々に相手のガードが下がりはじめ、「いけるな」(天海)と確信。一気に攻め立て、ベルトを守った。

 会場には親戚や友達が多く駆け付けた。天海は「良い試合ができた」とほっとした様子。次戦へ向け「まだ防衛するか、階級を変えるか決めていない」と話すが、「6階級制覇を目指す気持ちでいたい」と頼もしい。33歳のプロボクサーの躍進は止まらない。
 (喜屋武研伍)