沖縄県の米空軍嘉手納基地周辺での有機フッ素化合物PFOS・PFOA検出問題を受け、沖縄防衛局が2017年度に実施した水質調査で、対象の5地点のうち、嘉手納基地に最も近い「大工廻川下流」地点で、他の調査地点に比べて高い値が検出されていたことが分かった。
大工廻川が接続する比謝川の下流側の値も大きく上回った。
県企業局はPFOSの汚染濃度の分布や地形から「嘉手納基地が汚染源である可能性が高い」とする調査結果を出しており、改めて基地内が汚染源である疑いが高まった。米側は県の立ち入り調査を拒否している。
調査結果は琉球新報が沖縄防衛局への情報公開請求で入手した「提供施設区域内における現況調査業務」に記載されている。
五つの調査地点は「比謝川大橋」「久得橋」「大工廻川下流」「知花橋」「内喜納橋」で、全て基地外。うち嘉手納基地に最も近い「大工廻川下流」は、最高で1リットル当たり311ナノグラムのPFOS・PFOAが検出された(17年10月23日)。2番目に高い値が出た「比謝川大橋」の最高値120ナノグラム(同4月29日)を大きく上回った。
大工廻川は大部分が嘉手納基地を通っているため、防衛局は当初は基地内で水質調査をする予定だった。だが関係者によると米側の同意を得られず、調査地点は基地外に変わった。一方、防衛局は基地外での調査となった理由について、琉球新報の取材に対し「大工廻川の上、中流部の水量が極めて小さい一方で、下流部では一定の水量があったため、嘉手納飛行場外の大工廻川の比謝川に合流する手前の地点で採取し、水質調査を行った。大工廻川の水質は把握できている」と回答した。