【東海総体取材班】2018年度全国高校総合体育大会「2018 彩る感動 東海総体」は2日、三重県、岐阜県、静岡県の各地で競技が本格的に始まった。弓道では男子個人決勝で照屋智大(小禄)が7射目を外し優勝は逃したものの「遠近競射」を制し、準優勝した。バスケットボールは男子コザが八戸学院光星(青森)に終始リードされるも第4Qに逆転し、69―66で競り勝った。女子西原は得点力の高さを見せ、94―79で山形商を退けた。陸上では男子400メートルで上原侑真(那覇西)が準決勝に進出したが、48秒88で決勝進出を逃した。バレーボールの女子西原は予選グループ戦で就実(岡山)に0―2、敗者復活戦では青森西(青森)に0―2で敗れ、決勝トーナメント進出はならなかった。
◆焦らず中心射抜く
男子個人決勝で照屋智大(小禄)が県勢男子としては1984年大会以来の準優勝を果たした。決勝では7射目を外してしまい、優勝は惜しくも逃したが、2位を決める的の中心からの距離で競う「遠近競射」で審判員がほかの競技者との差を確認し、照屋の準優勝が告げられた。「2位という驚きと、びっくりしすぎて絶句した」と語る様子からうれしさが伝わった。
予選の1射目で外してしまった。練習時から矢を放つ感覚は良かったが、出だしで乱れた。それでも「一本一本の矢に集中しよう」と周囲が見えなくなるほど感覚を研ぎ澄まし、2本目から3連続で的中させ、準決勝進出を決めた。準決勝もその感覚は継続し3連続で的中。「皆中」はならなかったが、決勝進出を決めた。
決勝に向かう前に父の和彦さんから助言を受けた。高校時代に弓道で全国総体団体準優勝の経験があり、現在、興南で外部コーチを務める競技の「先輩」だ。「練習で当たっているから自信を持って放せばいい」と背中を押された。
昨年は同じ決勝で1射目で外す苦い経験もあった。「あの時は焦りがあった」と客観的に振り返りながら目の前の矢に集中し続けた。5射目で通常の的(直径36センチ)から八寸的(直径約24センチ)になっても当て続けた。迎えた7本目。照屋が矢を放つ前に既に全員が放ち、一人は当て、ほかが外したことを知った。当てれば2位確定。順位を意識してしまい外した。それでも2位を決める「遠近競射」では「真ん中に行け」と祈り放った矢が中心を捉え、準優勝をもぎ取った。
高校から競技を始め、最後の挑戦で全国2位に立った。高校生で挑む大会はあとは国体のみ。16、17日には九州ブロックが控える。「上を見ても足元をすくわれる。目の前の1射に集中するだけです」と語る口調に自信を感じさせた。
バスケット コザ(男子)、西原(女子)初戦突破
◆43年ぶり全国で躍動 コザ執念 もぎ取る
43年ぶりに全国の大舞台に立ったコザが、八戸学院光星(青森)との攻防を69―66で制し、苦しみながらも初戦を突破した。序盤から、ワンプレーで流れが変わる一進一退の展開だったが、終盤で振り切った。主将の島袋敬吾がアグレッシブなプレーでチームを鼓舞し続け、「最後まで諦めない粘り強い守備」(安里幸男コーチ)で勝利をもぎ取った。
強豪校がひしめく全国大会。初戦ということもあり、第1クオーター(Q)はコザの選手たちに動きの硬さが見られた。積極的なマンツーマンディフェンスから攻撃につなげるも、シュートブロックに遭うなど思い描いたプレーは遠かった。最終第4Qは2点リードを許してスタート。守備をゾーンと交互に切り替えるなどしてミスを誘い、島袋の冷静な判断と果敢に切り込む攻撃で必死で食らい付き、徐々に流れを引き寄せていった。
後半はPG福垣内修二らも奮起し、スチールからの得点やリバウンドを取るなどしてリング下も盛り立てて、第4Qの残り約5分でリードを奪った。必死に攻め込む相手を堅守でしのぎ、勝利への執念を見せた。
次戦はシードの開志国際(新潟)と戦う。島袋は「縮こまるのではなく、同じ高校生という思いでぶつかりたい」と気持ちでは負けていない。福垣内は「この勢いで立ち向かいたい」と目標の8強入りに向け、気合を入れ直した。
(大城直也)