日米の環境保護団体が、米国防総省に辺野古新基地建設中止を求めた米ジュゴン訴訟で原告の訴えが棄却されたことを受け、県内の原告や工事に反対する市民からは「ジュゴンがいなくなったのに、影響を認めない判決はおかしい」などの批判や落胆の声が漏れた。
原告の一人、沖縄平和市民連絡会世話人の真喜志好一さんは米国の弁護士からの電子メールで「悲報を知った」という。米国防総省の主張が全面的に認められた判決に「工事がジュゴンに与える影響がないはずはない。到底納得できるものはない」と憤り、控訴する方向で日米の原告団と調整したいとした。
原告で名護市議の東恩納琢磨さん(56)も「残念だが、控訴する予定だ。知事の撤回など新たな事実が出てきている。今後、地裁でできなかったことを盛り込み、改めてやっていきたい。地元の声がしっかりある」と話した。
原告団を支援するジュゴン保護キャンペーンセンターの吉川秀樹さんは「手続き面でもジュゴンへの影響面でも、問題ないと捉えられた」と落胆した。差し戻し審で、米国防総省が日本の環境影響評価(アセスメント)を「ほとんど意味がない」と認識していたなど新しい事実も分かった中での判決に「情報もあったのに、このような判決が出たのは悔しい」と声を落とした。
米軍キャンプ・シュワブのゲート前で抗議をしていた市民からも判決に疑問の声が上がった。連日海上のカヌーで抗議している木佐美祥治さん(69)=名護市=は「米国の司法に期待していたのにがっかりだ。こんなに早く棄却されるとは」と肩を落とした。
宜野座村からゲート前に通う高橋秀雄さん(65)は「裁判に一喜一憂するつもりはない。僕たちはここで頑張ってジュゴンを守るしかない」と前を向いた。