センサーで農作業支援 糸満とKDDI 温度や照度管理


この記事を書いた人 琉球新報社
農作業支援通知システムを発表した(左から)上原昭糸満市長、KDDI社の高畑哲平副社長、小出範幸氏=7日、糸満市役所

 糸満市とKDDIウェブコミュニケーションズ(東京)は7日、温度や照度を検知するセンサーを利用した農作業支援通知システム「てるちゃん」の実証実験を始めると発表した。小菊の電照栽培地の明るさやマンゴーのハウス内の温度をセンサーで管理し、農作業の負担軽減や効率化につなげる。糸満市内の農家で実証を進め、来年度の実用化を目指す。

 小菊は8月から、マンゴーは11月から実験を始める。KDDIウェブによると、初期費用は約1万円、通信料は月額千円など低価格で導入できるよう想定している。高畑哲平副社長は「補助金がなくても必要な農家の手に届くサービスにしたい」と述べ、他品目や県全体へ普及を見据える。

 IT企業発で県内市町村の課題解決に取り組む地方創生プロジェクト「Cloud ON OKINAWA」の一環。

 全国有数の小菊産地の沖縄では、畑を電気で照らしてキクの開花時期を調整する電照栽培が盛んだ。だが、ブレーカー落ちや漏電などで電気が消えた状態が3日ほど続くと、開花してしまい商品価値が下がる恐れがある。農家は深夜に畑を巡回して点灯状態を確認していた。通知システムでは、畑に設置したセンサーが変化を感知すると、クラウドが異常かどうかを判断して農家の携帯に通知する。マンゴーも成長の幅広い時期で温度管理が必要になるが、通知システムで確認の手間が省け、農作業が効率化できる。

 糸満市で小菊を栽培する大城太志さんは「夜に巡回することがなくなり、(電気が消えても)すぐに対応できる」と負担軽減に期待する。上原昭市長は「簡易なシステムで安価である。実験が成功すれば、農業の課題を解決して多くの農家へ普及できる。農家の新規参入も加速するかもしれない」と話した。