浦添工、接戦制し初優勝 沖縄県高校野球新人中央


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 高校野球の第45回県新人中央大会は13日、宜野座村のかりゆしホテルズボールパーク宜野座で決勝があり、浦添工業が2―0で沖縄水産を下して初優勝を飾った。3位決定戦は具志川商業が3―1で興南を下した。浦添工、沖縄水産、具志川商、興南の4強は、9月に開幕する県秋季大会のシード権を獲得した。優勝した浦添工は第2回沖縄・石川親善交流試合(22~24日、石川県)に派遣される。

◆伊藤、要所で緩急光る/浦添工

決勝 沖縄水産―浦添工業 粘投する浦添工先発の伊藤光=13日、宜野座村のかりゆしホテルズポールパーク宜野座(石井恭子撮影)

 169センチの左腕エース伊藤光(2年)が、浦添工の大会初制覇を引っ張った。部員は18人。決勝では夏のメンバーが多く残る沖縄水産打線を変化球と直球の緩急で揺さぶり、10安打を許すも完封した。攻撃では上原一帆や國吉吹ら4人を継投する相手投手陣から5安打ながら2得点。打線も少ないチャンスを確実にものにした。「チャレンジャー精神」(上原良介捕手)を掲げるチームが投打一丸でしぶとさを発揮して頂点に上った。

 県春季大会2回戦で前原と延長十四回で0―3と敗れたものの、タイブレークを投げ抜いた伊藤。夏は2回戦で読谷に痛打を浴びた。新人中央大会は4試合中3試合先発で完投2、自責点2。決勝は緩いカーブの後に、打者の内角へストレートで強気に攻めるなど、被安打や四死球からのピンチを三振に仕留める強心臓を見せた。「強いチームには速く押すより、変化球からのストレート」との上原のリードに任せ、投げ切った。

 特に九回は圧巻だった。代打2人に安打と四球で無死一、二塁と長打で同点のピンチを迎えた。晴天から空がかき曇り、急な強い雨に変わったが、マウンドの伊藤は動じることなく、続く3人をこの日の黄金律となった変化とストレートの緩急で連続三振締めした。「最後なので今まで以上に全力を意識した」。

 仲松志朗監督が「正直ここまで来たのが不思議」と評するチーム。打線は「めっちゃ打つわけでもない」(上原)が、甘いコースに来たボールを振り切り、守備陣の間を抜く単打で進塁した。県秋季大会でも浦添工らしく、挑戦者の気持ちを忘れず一戦一戦を大事に戦っていく。
 (石井恭子)