高級イカ、沖縄で初の水揚げ 「ケンサキ」、高値で取引


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 沖縄の新たな水産資源として期待されている高級イカの「ケンサキイカ」が21日から水揚げされ、沖縄県内の市場で取引されている。那覇市泊魚市場と糸満市場に上場して、1キロ当たり1900円の高値が付いた。沖縄で最も取れるソデイカ(方言名セーイカ)の直近の値1キロ当たり平均996円を大きく上回った。県は水産資源の利用拡大を目的に昨年度までケンサキイカの操業調査を実施しており、調査後で初めての水揚げとなった。漁業者はさらなる漁獲拡大と安定生産を目指している。

沖縄県の操業調査後初めて水揚げされ、取引されたケンサキイカ(県水産海洋技術センター提供)

 ケンサキイカは6~8月が漁期だが、漁場が糸満から西北西に300キロ以上離れた東シナ海と遠く、沖縄の漁業者がほとんど操業していなかった。県は昨年度まで2年間、沖縄水産資源利用拡大事業を通じて、ケンサキイカの調査を実施。県の調査船(167トン)と県内漁船が船団を組み、燃料費を補助して試験的にケンサキイカ漁を実施していた。

 今回、水揚げしたのは県近海鮪(まぐろ)漁業協同組合に所属する比嘉良尚さん(33)=八重瀬町=で、操業調査にも参加した若手漁師。21日は那覇で約25キロと糸満で約105キロ、22日は那覇で約91キロを競りに出した。比嘉さんは「ケンサキイカはソデイカともまた違った甘みがある。(今後は)漁をやりながら、漁場も探していきたい」と語った。漁船の冷凍庫を改造して出漁した。今後は品質の良いケンサキイカを安定的に提供したい考えだ。

 ケンサキイカの活用を模索してきた県水産海洋技術センターの紫波(しわ)俊介氏は「若い漁業者が新たな漁業に挑戦してくれてうれしい。沖縄のおいしい海産物を県民に味わってほしい」と述べた。