VFP、辺野古で監査請求 米政府へ 建設リスクを問題視


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VFP総会の夕食会で、VFPーROCKのアリス・来間・ニューベリーさん、当真嗣清さんのスピーチに連帯を確認する参加者ら=25日、米ミネソタ州セントポール

 【ミネソタ=座波幸代本紙特派員】退役軍人や支援者らでつくる平和団体「ベテランズ・フォー・ピース(VFP)」は25日、米ミネソタ州セントポールで第33回年次総会の全体会議を開いた。米政府監査院(GAO)に対し、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古への新基地建設計画の問題点を独自に調査するよう求める決議案を全会一致で可決した。決議案は「平和を求める元軍人の会―琉球・沖縄(VFP―ROCK)」(ダグラス・ラミス会長)が提起した。

 決議では、GAOは昨年公表した「アジア・太平洋地域における在沖米海兵隊の再編に関する報告書」で、代替施設の滑走路が必要とされる長さを満たしていないことを明らかにしたと指摘。新基地建設予定地に(1)軟弱地盤がある(2)周辺建造物の高さ制限が守られていない(3)活断層がある―などの問題点がある上、日本政府は信頼できる情報を提供していないとした。その上で、GAOに対して独自調査を求め、工事強行のリスクを判断するよう求めている。

 ゲリー・コンドンVFP会長は取材に対し「今回の決議は非常に戦略的だ。GAOは既に辺野古の建設計画に関する報告書も出している。GAOに対して新たな側面からの調査を求めたい。今後、1~2週間のうちに連絡を取り、圧力をかけて進めていきたい」と、早急に行動することを約束した。

 VFPは米国をはじめ、英国やベトナム、韓国などにも支部があり、会員数は約3千人。名護市辺野古の新基地建設計画に関する決議は、今回を含め3年連続3回目。

平和への願い連帯を 

 【ミネソタ=座波幸代本紙特派員】25日に米ミネソタ州セントポールであった、退役軍人や支援者らでつくる平和団体「ベテランズ・フォー・ピース(VFP)」第33回年次総会の夕食会で、「平和を求める元軍人の会―琉球・沖縄(VFP―ROCK)」のメンバーのアリス・来間・ニューベリーさん=米ワシントンDC在、当真嗣清さん=読谷村在=が約300人の会員らを前にスピーチした。土砂投入が迫る名護市辺野古への新基地建設工事への危機感を示すとともに、沖縄の闘い、世界各地の米国軍事主義との闘い、人種差別などに対する闘いが連帯していくことの必要性を呼び掛けた。会場は大きな拍手に包まれた。

  母律子さんが宮古島市出身のニューベリーさんは沖縄では旧盆ウークイを迎えたことを紹介し「私は先祖に、ここにいる皆さんが自由のための闘士であり、沖縄の自由のために、沖縄の子どもたちのために共に闘うことを約束して帰したい」とあいさつ。「私の先祖は戦争の生存者だ。沖縄の多くの人々は米国の軍事主義によってトラウマ(心的外傷)に苦しみ、今も戦争の記憶から逃れることはできない」と述べた。その上で、沖縄の基地反対運動、米国内の人種差別や警察による暴力への抗議、世界に800以上ある米軍基地の存在など、平和のための闘いの根底はつながっているとして、多様な人々との連帯を呼び掛けた。

 当真さんはVFPが3年連続、新基地建設計画に反対する決議を可決したことに感謝した上で「しかし、現状は変わらず、日本政府は美しい海を埋め立て、米国のための新基地建設を強引に進めている」と指摘。米政府監査院(GAO)に調査を求める今回の決議を基に「米政府から日本政府への圧力になり、琉球・沖縄の人々に勇気と希望を与えることを確信する」と述べた。

 また、この1年間で亡くなった会員らを追悼する場で、参加者たちは亡くなった翁長雄志知事へ哀悼の意を表した。