巨大地震や大津波を引き起こすプレートの境目である「固着域」が沖縄本島南方沖にあることが琉球大学と名古屋大学大学院の研究グループの調査で明らかになった。見つかった固着域は、1791年のマグニチュード8クラスの巨大地震を引き起こしたとされる領域と重なっている。発見者の一人である琉大理学部の中村衛教授は「長年のひずみがたまっている可能性がある。これまで大きな地震が起きていないということは逆に危険だ。いつはじけてもおかしくない」と警鐘を鳴らす。
研究グループは、沖縄での巨大地震発生の可能性を調査しようと2008年から、GPSと音響測距結合方式による海底地殻変動の観測を続けてきた。10年にわたる調査の結果、沖縄本島南方沖に少なくとも長さ130キロ、幅60キロにわたってプレート境界が強く固着している部分があることが分かった。
東日本大震災や南海トラフ地震のような海溝型地震は、長年の固着したプレートの境目が一気に破壊することで発生し、その影響で津波が引き起こされる。今回の固着域の発見により、政府の地震調査研究推進本部が2004年にまとめた報告書にある「南西諸島周辺は将来巨大なプレート間地震が発生するとは考えにくい」という内容は大きく覆る可能性がある。
中村教授は「観測地点の数も少なく、一部を発見しただけにすぎない」と語り、研究グループは今後、調査や観測領域を広げ、引き続き固着域の広がりや、ひずみの蓄積状況を明らかにしていくとしている。