佐喜真氏マスコミ討論会不参加 自民「時間なくJCに一本化」 玉城陣営「県民に争点示そう」


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(左から)佐喜真淳氏、玉城デニー氏

 自民党沖縄県連は2日、沖縄県政記者クラブが出席を求めた県知事選立候補予定者討論会に対し、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)が参加しないことを文書で回答した。「日本青年会議所(JC)が予定する討論会に一本化する」とし、マスコミ各社の討論会や座談会には一律で応じない。これに対し県政与党が擁立する衆院議員の玉城デニー氏(58)の陣営は「マスコミからの出席の要請には積極的に臨む」として候補者が露出する機会に前向きで、姿勢が分かれている。

 県知事選の選挙報道で、候補者同士の政策討議が実施されないのは異例。識者からは「基地問題のほか生活に身近な課題の論点も深まらない。選挙の関心が高まらず、政治不信につながる」との懸念の声が上がっている。

 佐喜真氏らの知事選出馬表明を受け、複数の県内メディアが公開討論会や対論番組への参加を個別に申し込んでいた。琉球新報社も8月下旬に立候補予定者座談会と公開討論会への出席を要請した。

 これに対し佐喜真氏側からはJC主催の討論会以外に出席しない方針を各社に回答。インタビューについても、文書で提出された質問に文書で回答する方式で応じるとしている。

 これを受けて県政記者クラブは8月31日に、「立候補予定者の政策を広く県民に伝えるとともに、争点を明確にするため」としてクラブとしての討論会開催を申し入れた。候補者同士が顔を合わせて政策を語る機会を希望する複数の社が合同で討論会を設定することで、立候補予定者の日程の確保に考慮した提案だった。

 これに対する回答でも自民党県連は「残り1カ月もない超短期決戦のなかで、一人でも多くの県民と直接、対話を重ねていきたい」と日程確保の難しさを挙げた。「3日の政策発表の機会にマスコミ各社から政策について質問を受け付ける時間を設ける」とした上で、自民党側が開催を依頼した日本青年会議所沖縄ブロック協議会の主催する公開討論会にのみ出席するとした。

 米軍普天間飛行場の辺野古移設が争点だった1月の名護市長選では、自民が擁立して当選した渡具知武豊氏は「多忙」を理由に討論会や座談会に応じず、候補者同士が一度も直接の政策論争を交わすことはなかった。

 玉城氏陣営の幹部は「沖縄の未来が懸かった大きな選挙で、県民に争点を明確に示すのは候補者の責務だ。有権者に判断基準を示す公開討論会は積極的に参加すべきだ」と反発した。